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やるの?やらないの?テロ支援国家再指定で米政府内に早くも慎重論
【ワシントン=有元隆志】クリントン米国務長官は北朝鮮をテロ支援国家に再指定する検討作業に着手したことを表明したが、米政府内には早くも再指定に対し慎重な声が出ている。再指定をするには、北朝鮮が過去6カ月以内にテロ支援を行っていると判断しなければならない。また、長官自身も4月末の段階で否定的な見解を示しており、現実的に早期に再指定されるとの見方は少ない。
ケリー国務省報道官は8日の記者会見で、再指定の手続きについて「北朝鮮が最近国際テロ活動を支援しているかなど、非常に明確な手続きを経ないといけない」と述べ、新たな「証拠」が必要と指摘した。
ギブズ大統領報道官も同日の会見で「クリントン長官の発言は(再指定を求める)上院議員らからの書簡について聞かれたものだ。法規は明確で、いくつかの要件がある」と述べた。
クリントン長官は7日放映のABCテレビのインタビューで、指定解除は「(核計画の放棄という)目的があってのことだったが、北朝鮮の行動でその目的は挫折した」と述べた。クリントン発言のように、ブッシュ前政権の譲歩は事実上失敗に終わったと受け止められている。しかし、米政府は昨年10月に北朝鮮をテロ支援国家指定を解除したばかりで、半年余りで再指定することには抵抗があるようだ。
クローリー国務次官補(広報担当)は2日の記者会見で、「(北朝鮮による)ミサイル発射や過熱している言葉遣いは愚かなことだが、そのことがテロの定義に合致しているとはいえない」と述べ、ミサイル発射や核実験は再指定の要件にあてはまらないとの立場を示している。
クリントン長官自身も4月下旬のFOXテレビのインタビューで、北朝鮮がミサイルなどの拡散活動に従事しているかどうかについて、「現時点で、証拠を持ち合わせていない」と答えている。
国務省は4月末に発表した2008年版の国際テロ活動に関する国別報告の中で、昨年10月に北朝鮮を指定から解除した理由として、北朝鮮が過去6カ月間、国際的なテロ活動を行わず、今後も行わないと確約したためと説明している。