【ニューヨーク=小高航】米最高裁判所が8日、クライスラーの資産譲渡を巡る判断を先送りしたことで、順調だったクライスラーの破産法手続きに不透明感が漂い始めた。資産譲渡が難航すれば、伊フィアットとの提携による再建策そのものが無効になる可能性がある。クライスラー再建を巡っては債権者から政府の関与を問題視する声も上がっており、より強力に政府主導で進めようとしているゼネラル・モーターズ(GM)の再建手続きにも影響が出そうだ。
クライスラーの破産法手続きを巡っては、米インディアナ州の年金基金などのグループが異議を申し立てていた。グループが問題視しているのは、主に(1)有担保債務にもかかわらず弁済率が低すぎる(2)政府が不当に介入した――の2点だ。
同グループはクライスラー向けに計4200万ドル(約41億円)の債権を抱える。政府とクライスラーは債権者に29%の返済を提示。すでに大半の債権者は合意したが、同グループは「担保付きの債権への返済を優先すべきだ」と主張している。
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