170万人もの兵士、38万人の民間人が犠牲となった太平洋戦争の終戦からはや64年。実体験として戦争を知る世代も少なくなり、悲惨なその記憶は年々薄れてきている。戦争に身を投じた兵士たちは当時何を感じ、何を思い、何のために命を懸けて戦ったのか。
小学校で課外授業の教壇に立つ最上町在住の平山行夫さん。平山さんはかつて旧日本海軍の飛行艇偵察員として危険な任務に従事した。当時、夜間に目印のない洋上を飛行する際は、星の高さを測る「天文航法」を駆使して自らの位置を把握していた。平山さんはその正確さから仲間達に「天測の神様」と呼ばれていたという。偵察部隊は攻撃部隊と比べると地味な印象があるが、実は大変危険な任務。護衛する戦闘機もなく、たった一機で敵の艦隊を探し出さなければならない。敵を発見したその瞬間、敵は猛烈な攻撃を開始してくる。また広い洋上で位置の計算を誤れば、目的地にたどり着けず、燃料切れで墜落する危険もある。まさに常に「死」と向かい合わせの任務だった。
襲ってくる戦闘機、死んでいった戦友の顔…。平山さんの戦争の記憶は、いつも満天の星と重なっている。見上げるといつもそこにある美しい満天の星空さえも、敵を攻撃し、身を守る武器になってしまう「戦争」。番組では、平山さんの貴重な戦争体験の証言や思いを通して、改めて平和の尊さ、平和への祈りを多くの戦争を知らない世代に伝えていく。
制作・著作 さくらんぼテレビ