中国は「内需」と「外需」の2本柱で成長
そもそも中国は外需一辺倒の国ではない。従来から「内需」と「外需」の2本柱で成長してきた国だ。たしかに改革開放の父、トウ小平氏は「先富論」を唱え、ポテンシャリティの高い沿岸部に高度成長を促した。
しかしそれは内陸部への無策、無関心の容認ではない。沿岸部とは比較にならないほどノロノロしたペースではあっても、北京政府は公共事業を通じて内陸部の経済成長をも進めてきた。しかも07年には「沿岸部から内陸部へ」と大きく舵を切ると内外に宣言していた。
そして昨年秋、リーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに世界経済に急ブレーキがかかるやいなや、中国は「2年間で4兆元(約56兆円)」という巨大な公共投資を通じて「世界経済に貢献する」とぶちあげた。共産党一党支配のメリットは政策実現の速さにある。いまや中国国内は「4兆元の公共事業」で大賑わいだ。上海では「上海―南京―杭州」を新幹線で三角形に結ぶ大計画が大きな話題になっている。
「1月に発表された計画では、この3月に着工し、2010年には完成させる」という。だが総延長800キロにも及ぶ新幹線を1年で完成させることが本当にできるのか。
日本人にはリアリティを持ちにくいが、上海っ子たちは「線路中に人を配置すればすぐにできる」と言ってのける。もっとも2010年中に完成するか否かはたいした問題ではない。注目すべきは2010年の万博開催をひかえた上海が、新幹線計画のぶちあげで大いに勢いづいたことである。