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時評コラム

財部誠一の「ビジネス立体思考」

4兆元の公共事業で
盛り上がる中国経済

ブレーキを踏み続けていた中国当局

 「4兆元の公共事業」効果は四川省でも劇的なカタチで現れている。昨年5月に大震災をこうむった四川省では、個人の権利関係の調整に手間取り、復興計画が著しく遅れていた。本格的な復興工事はこれから本番を迎える。

 2月中旬に取材したコマツ四川の販売代理店では、建機の月間販売台数が劇的に増えていた。過去の最高記録は月間93台であったが、今年2月は20日時点ですでに販売台数が105台に達した。このまま推移すれば2月は150台販売するのも夢ではないと中国人の総経理は自信のほどを披露していた。

 さらに注目すべきは、北京オリンピック前のバブル崩壊を恐れた金融当局が、07年から金融引き締め政策を続けていた事実である。つまり中国経済は1年半ほどブレーキを踏み続けていたのである。金融緩和に転じて、アクセルを踏み始めたのは昨年12月からだ。それからというもの中国の融資残高は目覚しい勢いで伸びている。

 たしかに沿岸部の製造業を中心に倒産が続出し、中国では失業者が2000万人にも達しているという。内陸部まで含めれば失業者は3500万人にのぼるというデータもある。だが胡錦濤主席は「6000万人の雇用を創出する」と公言している。

 中国3000年の歴史のなかで、初めて中華思想実現のチャンスが到来した中国だ。なにがなんでも世界の覇権国の仲間入りをするという野心のもと、凄まじい執念で中国は高い経済成長の達成を目指してくる。

 中国経済の現状を日本と同一視するお粗末だけはやめた方がいい。

財部誠一(たからべ・せいいち)
1980年、慶應義塾大学を卒業し野村證券入社。出版社勤務を経て、1986年からフリーランスジャーナリスト。1995年、経済政策シンクタンク「ハーベイロード・ジャパン」設立。金融、経済誌に多く寄稿し、気鋭のジャーナリストとして活躍。テレビ朝日系の『サンデープロジェクト』、BS日テレ『財部ビジネス研究所』などに出演。
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