製造業を育てるのが競争力強化につながる
最近はマスコミと政治家は口を開けば「内需」だという。 「外需依存体質が大不況の元凶。だからこれからは内需だ」
内需拡大はごもっとも。農業振興は絶対に進めなければならない国家戦略でもある。だが外需と内需をさも対立概念として語ること自体が間違っている。
「外需が落ちたら内需拡大で補完する! できれば外需も内需も拡大する!」
これがまともな考え方だ。だが日本ではこんな当たり前の話が通らない。
製造業は日本にとって死守し続けなければならない大切な産業だ。それはただ単にものづくりに執着しろということではなく、日本人のDNAはものづくりにおいてこそ、世界でもまれに見る競争力を発揮しているからだ。
この才能、才覚を自ら否定し、米国への短絡的追従思考で「ものづくり」より「サービス業」に力をいれるべきであるかのような発言もお粗末千万だ。世界の厳しい競争に打ち勝って、日本が成長を維持していくためには得意分野をさらに伸ばすと考えるのが常識というものだ。
その常識を欠いたまま、寄ってたかって、日本のメディアと政治家は一方的に製造業の派遣切り批判を繰り返した。私は昨年暮れ、本欄において「派遣切り批判を批判する」「続・派遣切り批判を批判する」というコラムを書いたが、そのなかで心配していた最悪の事態がついに現実のものになってしまった。