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時評コラム

猪瀬直樹の「眼からウロコ」

日本のすぐ近くにあった「ドバイ」を見る

IFEZは韓国の生存戦略という位置づけ

 中国と日本のあいだに挟まれた韓国は、「ナットクラッカーのあいだのクルミ」のように押しつぶされてしまうという相当な危機感を持っている。

 「中国の発展速度を勘案したとき、今後5〜10年以内に韓国が東北アジアビジネスの中心国家としての位相を確保することができなかった場合、韓国の地政学的与件はむしろ我が経済の生存にとって障害要因となる」(IFEZサイトより)

 中国の急成長、日本との競争力格差、さらに香港・シンガポールなど投資誘致都市の存在が、韓国の地位を脅かしている。さらに韓国は経済成長率が鈍化している。IFEZは韓国の生存戦略という位置づけなのである。

 そもそも、僕がIFEZのことを知ったのは、CS放送のディスカバリーチャンネルだった。地上波ではNHKが「沸騰都市」という番組で、世界各地の都市を取り上げていたが、IFEZは紹介されていない。IFEZのことを知っている日本人はまだ少ない。

 日本は、今のところ競争力で優位に立っているが、経済成長率の鈍化は韓国以上だし、経済の自由化も遅れている。沖縄を自由経済区域にするはずだったのにできなかった。中途半端な規制緩和で、何の魅力もない特区モドキができただけだった。20年先、30年先を見据えた場合に、日本もボヤボヤしてられないのである。

猪瀬直樹(いのせ・なおき)
作家。1946年、長野県生まれ。1987年『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。『日本国の研究』で1996年度文藝春秋読者賞受賞。以降、特殊法人などの廃止・民営化に取り組み、2002年6月末、小泉首相より道路関係四公団民営化推進委員会委員に任命される。政府税制調査会委員、東京工業大学特任教授、テレビ・ラジオ番組のコメンテーターなど幅広い領域で活躍中。東京都副知事。最新刊に『霞が関「解体」戦争』(草思社)がある。
オフィシャルホームページ:http://inose.gr.jp/
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