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パワハラ?悩む職場、今年度から労災認定基準…線引き難しく

6月9日14時35分配信 読売新聞

パワハラ?悩む職場、今年度から労災認定基準…線引き難しく
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読売新聞
 上司からの嫌がらせ、「パワーハラスメント(パワハラ)」に関する相談が、全国の労働局にある総合労働相談コーナーに相次いで寄せられている。

 2008年度の件数は3万2242件と、前年度より3907件増え、6年前の5倍。厚生労働省では今年度から、労災認定の判断基準に初めてパワハラに関する項目を盛り込んだ。一方、専門家からは「パワハラは仕事の延長線上で問題となることが多く、労災か否かの線引きは困難」という指摘もある。

 都内の勤め先を休業している男性(37)が異変に気づいたのは、2007年3月。駅で帰りの電車を待っている時、ふらふらっと電車に飛び込もうとした。病院に行ったところ、診断はうつ病。医者から「疲労に加え、上司からのパワハラが原因では」と指摘された。

 約1年前から一緒の上司は、「机の周りを整理しろ」から始まり、書類の誤字についても厳しく注意。「次は何を言われるのか」と仕事が手につかなくなった。「お前は何もできない」「何もしないのに腹は減るのか」。部署内の連絡メールも自分には来なくなった。薬を飲んで出勤し、昨年4月には部署を替えてもらったが、今年2月に休職。復職を目指して通院中だ。

 厚労省によると、パワハラ相談の事例としては「強く叱責(しっせき)され、殴られそうになった」「仕事のトラブルをすべて自分のせいにされた」「人格を否定するような言葉を言われた」などが多い。同省は4月、パワハラによってうつ病などになった場合に労災認定を受けられやすくするよう判断基準を見直し、パワハラを含む「ひどい嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた」という項目を新設。従来は「上司とのトラブルがあった」という項目しかなく、労災が認められるのはまれだった。

 今回の基準見直しを受けたパワハラによる労災認定のケースはまだ報告されていないが、今後、申請が増えることが予想される。

 コンサルタント会社「クオレ・シー・キューブ」(東京)の岡田康子代表は、パワハラ相談の急増について「人員削減や職場のIT化で社員同士のかかわりが減ったことも背景」と分析。新入社員が年上の派遣社員をどなる、若手社員がIT機器の操作に不慣れな年配社員をばかにする−−などのケースもあるという。一方、岡田代表は「上司が大声を出すのは、業務上必要な場合もあり、すべてをパワハラとすると仕事にならない。セクハラと比べ、線引きが難しい」と指摘する。

最終更新:6月9日14時35分

読売新聞

 

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