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俺屍部屋更新雑記

夢想通信俺屍部屋限定更新雑記。文責・橘

≪ アンソロ煮詰めすぎ :New  |  old: 水面下作業中 ≫

素面でも語る

 書き上げて一週間以上置いたので、アンソロ小説の本格的な推敲に入っています。
 以下ずっと昔に日記で書いたことですが、書いてる最中に自分の文章の欠点に気づくのは容易なことじゃありません。自分、いいと思って書いてるからね。ほんとに。脳内麻薬で自家中毒状態だからね。
 しばらく時間を置いて、ヤクの影響が切れてからじゃないと客観的な判断は無理です。しかもこのヤクは習慣性がすごいので、ちょっとやそっと時間をおいたくらいじゃ原稿を見たとたんにまたラリってしまって、なかなか冷静な目で見直せないのです。
 それでも、一週間くらい置くと、気づけなかったところに気づいたり、新しい発想が浮かんだりしてそこそこ冷静に手直しが出来るようになります。
 一週間置いたら自分でも見返すのがつらい、などという場合は、そんなものそもそも人に見せるべきではない。

 一応、初稿は佐藤先輩にメールで送って、気になる部分を教えてもらいました。
 自分でもどうにかしたいなと思ってたところを案の定指摘されたり、自分では全然気になってなかったところを問題視されたり。誤字にも気づけたし、やっぱり人に見てもらえると助かります。
 アンソロはサイトと違って金取るわけだから、いい加減な物出せない。

 推敲という言葉は中国の故事で、詩人が漢詩をつくるのに、戸を「推(お)す」にするか「敲(たた)く」がいいか悩むというところから来ていますが、実際そんな感じで、言葉の選択に頭ひねってます。言語野フル活用。久々に類語辞典くびっぴき。
 実際に本文書いてる時より、こうやってああでもないこうでもないと細かく言い回しを整えてる時が一番楽しいです。
 本文なんか誰か代わりに書いてくれればいい。(ぉぃぉぃぉぃ)


 そういえば、今年も学校で小説講座を持たなくちゃいけないみたいです……
 毎年ろくなことやれてないのにな……

 小説を書く時のポイントその2。「同じ言葉は極力使うな」
 まず単純に、同じことを何度も言うのは芸がないというのが一つ。
 何たって「文芸」というくらいですから。バカの一つ覚えよくない。
 無意味に同じことを繰り返されれば、読者は当然くどくてしつこいと感じます。芸人として客を飽きさせてはいけません。

 それから、同じ言葉ばかり使ってると、微妙なニュアンスの違いが全然伝わらない
 ごく厳密に言えば、諸行無常万物流転のこの世に、全く同じ状態というのは存在しません。
 同じ人が同じ場所で同じことをしても、どこか違ってるはずです。
 漫画だって、たとえ同じシーンでも毎回背景まで描きますよね。コピー使うのは回想シーンとか、同じだということを強調したい時とか、よほどの捨てカットくらいですよね。同じ場所でも、時間や季節や視点の位置で雰囲気が違いますから。
 小説はその違いを、言葉の選び方で表現しないといけない。

 といっても、語彙には限界があるから同じ言葉を全く使わないのは不可能だし、同一人物を一秒前と一秒後で書き分ける意味もない。いくら一瞬ごとに老化しているとはいえ。
 そもそも、頭の中にある情景や思想を、言葉で他人に伝えるのが目的ですから、ひねったあげく伝わらないじゃしょうがない。まず伝えたいイメージありきで、どういう表現をしたらそれが最も的確に伝えられるかが問題です。
 私が誤字脱字を嫌うのも、本来伝えたいはずの意味やニュアンスを通じなくするからです。「俺やるぜ」と「俺はやるぜ」は違う。こっちがひねり抜いた表現を台無しにする誤植はもっと憎い。閑話休題。
 だから、何でもかんでも使い分ければいいというものでもないのですが、一応、一度使った言葉はできるだけ避けようと意識するだけで、文章の締まり方が違うと思います。

 よくよく注意したいのは、難しげで見慣れない言葉ほど、何度も使うと目立つということ。
 「言った」とか「見た」とかいうシンプルな単語は、何回も使われててもそんなに気になりませんが、「睥睨する」なんて言葉が二度も三度も出てくるとそれは使わない方がましなくらいカッコ悪い。
 そういう派手な一発屋は、ここぞというポイントを狙いすまして使わなければならないうえ、はずすと非常にきまりが悪いので取り扱いに注意。
 私「風葬都市」でですね、「きびすを返す」という表現を二回使って、父に「こんな変な言葉何度も使うな」と苦言を呈されました。
 「風葬都市」は原稿用紙全30枚で、使ってる場面は最初の方と最後の方でざっと15枚は離れてて、自分としてはそんなに珍しくない表現のつもりだったので、まあいいだろうと思って二度使ってたんですが、気になる人には気になってしまうと。
 ちなみに、それは雑誌掲載時の話で、サイトに載せてるバージョンでは書き換えてあります。あんまりうまい言い換えとも思わないけど。

 言い換えする時に便利なのが、前述の類語辞典です。
 例えばこれで「驚く」とひくと、「びっくりする」とか「舌を巻く」、「驚愕」「仰天」「たまげる」「目を疑う」「寿命が縮む」等々だーっと並んでます。
 その中から使いたい語句を選べばいいので楽できます。もちろん、その状況に最適なやつをですよ。さっき「驚く」を使ったから今度は言い換えたいというだけで、深刻なシーンに「腰を抜かす」とかやっちゃまずい。実際に腰が抜けたような驚き方をしていても、場面をシリアスに保ちたかったらそうは書けない。言葉のイメージというものがありますので。

 あと、推敲する時、これが意外と落とし穴です。
 はじめから順番に書いてれば、この言葉はさっき使ったとわかるんですが、後から書き足す時は、その部分しか目に入ってなかったりするので、近くで使ってる言葉を気づかずにうっかり書いてしまいがちです。
 一文書き足したら、その前後にもざっと目を通すか、めぼしい単語で検索かけるといい。

 何となく勢いで語る文章談議第二弾でした。今日は酒入ってないけど。
 こんなん読んでる方がいらっしゃるかわかりませんが……
 ちょっとでも面白がって頂けたら、あった方が見栄えがするというレイアウトの都合で再設置したブログ拍手ぱちぱちしてやって下さい。

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