創作授業の小説は、結局4人中2人しか提出してくれませんでした。
でも、その2人は、一応作品完成させてくれたのでよかった!
今日の学園祭で講評つけて展示しました。
生徒の作品のうち一つは、チャットで知り合った女性が実は幽霊で主人公をとり殺す、という怪談で、よく書けてたのですが、主人公が最初からその女性に対して不吉な感じを受けてしまってたのが今ひとつだったなと思いました。
最初は、女の子と知り合いになっちゃったラッキー♪ くらいに浮かれてた方が、後々の気味の悪い展開との落差が際だつし、主人公がより気の毒っぽくなると思う。
最初から不幸そうなやつがやっぱり不幸になるより、ハッピーなところから転落する方が、カタルシス大きい。
だから、幸せな日常が描かれたり恋人が出来てみたりするのが「死亡フラグ」であると。あれは死ぬ予定が先にあって、わざとその衝撃を増すために持ち上げてるわけですよね。なので「フラグ立ったー!」ってくらいミエミエでもあまり問題ない。知れきった展開でも、幸せな未来ある善人が死ぬのは十分ショックだから。ジェットコースターのレールの先が見えてたって、落ちる時は怖いのと一緒。
あと、人は油断してる方がより驚きますから、何か起こるぞ起こるぞ起こったー! というより、何もないと思わせてワッ! と出された時の方がビックリ度は高い。
まあ恐怖感なんかは、ヒタヒタ迫ってくるような積み重ねも重要ですけど、その生徒の作品は突然降って湧いたように不吉な予感だけおぼえてたので、やはりうまくなかったですね。
むしろ主人公は油断させておいて、事件の衝撃を増幅させるべし。だから主人公って、たいていどっか抜けている。主人公が抜けてなければ、抜けた脇役がそばにいて代わりに騒ぐ。
主人公を油断させるのなら作者の自由ですけど、読者を油断させるのには工夫がいります。
油断している主人公につられてくれることもありますが、たいていの読者はそんなにうかつではないので。
読者は、物語というのは事件が起きることが前提で、何事もない状態が続くわけないことをわかってます。はじめから何か起こるだろうと虎視眈々と待ち受けている。
そんな読者の油断を誘うには、それっぽいダミーを出してみるというのが手。
別の展開を匂わせて、あさっての方向を向かせてからフェイント喰らわせる。うまくハマるかは作者の腕と読者のレベル次第で、あまりに見え透いてると逆効果ですが、全然しないよりはやってみた方がいいと思う。
生徒が書いた話の場合、チャットで知り合った女が、チャットで話していない主人公の日常まで知っていて、何だコイツは!? ということになって、そのまま幽霊オチにいっちゃうんですけど、そうならその前にいったん、ストーカー疑惑をはさんでおけばよかったんじゃないかと思った。
知人でもないのに自分の生活を何故か熟知しているときたら、まずは幽霊よりストーカーを連想するのが自然じゃないでしょうか。
ストーカーにつきまとわれるサスペンスかと思わせて実はオカルトだったと。
ただ、幽霊オチは夢オチみたいなもんだから、あんまりストーカー方向でひっぱって現実的な話だと思わせすぎると、読者が驚くを通りこして怒るかもしれないから、ほどほどにですけど。
生徒の話見てるとわかりやすいんですが、「これが書きたい!」と思うとまっしぐらにそっち突き進んじゃうんですよね。幽霊話なら最初から不吉な感じ全開で書いちゃう。直球すぎる。
オチが不吉なら、むしろはじめはごく何でもないふうに。逆に、実は何でもなかったというオチなら、さも不吉そうに思わせぶりに書くのが基本かと。
橘@管理人(08/09)
七秋(08/07)
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橘@管理人(04/16)
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