IT情報開示問題、議論かみ合わず…日中経済対話
7日に都内で開かれた日中閣僚級の「ハイレベル経済対話」では、中国が導入する予定のIT(情報技術)製品の中核情報を日本メーカーなどに強制開示させる制度の撤回には至らなかった。
日本は中国に対し、強制開示制度を撤回した上で国際的な認証制度へ参加することを新たに提案した。多国間の枠組みで解決を目指すこの案にも中国は前向きな回答を示さず、実現は厳しい情勢だ。
中国が2010年5月の導入を通告しているIT製品の情報開示制度は、政府が調達する13品目についてソフトウエアの設計図である「ソースコード」の開示をメーカーに強制し、認証を受けなければ輸出や販売を禁じるものだ。
二階経済産業相は「日中貿易の妨げだ」と撤回を迫ったが、中国側は「政府調達に限定し、慎重に対応している」と述べて拒否した。さらに日本は「最新製品を中国に輸出する企業はなくなる。汎用品しか購入できなければ中国も損失だ」と説得したものの、議論はかみ合わなかった。
日本が中国側に提案した国際的な製品の安全性認証制度は「コモンクライテリア」と呼ばれ、一部の加盟国が認証した製品は他の参加国でも認証したとみなすものだ。欧米、韓国、カナダなど26か国が加盟する。国際認証制度への参加について中国側は、「関係各国の意見を聞いて対応したい」と答えるにとどまった。
一方、今回の経済対話では、中国で横行する日本製品の模倣品被害の防止に向けた取り組みで合意した。知的財産保護について協議する専門の作業グループを設置し、日本は中国政府が取り組む防止対策や不正業者に対する罰則強化に向けた法整備などを支援する。日本側はインターネット上での権利侵害を厳しく取り締まるよう中国側に求めていく方針だ。
このほか、東アジアに進出する企業を両国の政府系金融機関が協調支援することや、ICタグ(電子荷札)を活用して両国間の物流を円滑化する取り組み促進などで合意し、両国の経済連携は一定の進展を見せた。第3回の対話は来年、中国で開く。(岩城択)
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