きょうのコラム「時鐘」 2009年6月9日

 「不正コピー」が、複雑な国際情勢を解くキーワードのように見えてくる。「日中間で模倣品対策会議」や「国連の北朝鮮制裁決議案」の記事も分かり易くなる

先には、中国軍がロシアからの輸入兵器をコピーして途上国に大量販売、ロシアを怒らせたとあった。続いて、北朝鮮もロシア製小型ミサイルをシリアから買ってコピー兵器を量産化、再びシリアに売る実態が明らかになった

北朝鮮が、核や大型ミサイルの開発費をこれらコピー兵器で稼いでいることが分かった。そこで、北朝鮮に対する国連安保理の制裁案の中で「兵器の全面禁輸」が焦点になり、制裁案の合意が難航しているというわけだ

模造がハンドバッグや乗用車にとどまらず、軍事産業に拡大しているのである。この裏返しの例が日米間の次期主力戦闘機購入問題だ。日本は最新鋭のF22を買うというのに、米は売れないという。最新の軍事機密を守るためといわれる

コピー兵器の拡散を許さないのは立派だが、同盟国といえど、この程度の信頼度なのかとの思いは残る。大切な事を他人任せにするとこうなるとの重い教訓ではないか。