2009年6月9日17時0分
出会い系サイトの運営会社が、会員が購入したポイントを「抜き」と呼ばれる手口で勝手に減らしていた問題で、サイトを運用するシステムの販売代理店が、販売先の複数のサイト運営会社に対し、「抜き」の手口を持ちかけていたことが運営会社幹部の証言などでわかった。同じシステムを使用していた運営会社は20社以上あり、「抜き」が業界内で広がっていた可能性が出てきた。(後藤太輔、村上英樹)
サイト運営会社の内部資料などによると、少なくとも8社が「抜き」をしていたことがすでに明らかになっている。ほかに東京都渋谷区のサイト運営会社2社が今年1〜3月、それぞれ約1週間と約2カ月間、「抜き」をしていたことを朝日新聞の取材に認めた。
2社の幹部の話や内部資料などによると、2社は昨夏〜昨秋、システムの販売代理店社長から「必ず利益が出る」などとサイトの運営を勧められたという。2社はそれぞれ数百万円でシステムを購入。売り上げの20%を代理店にシステム利用料として支払う約束でサイトの運用を始めた。
ところが売り上げが伸びなかったため、2社の幹部らが代理店に相談すると、担当者から「抜き」をしていた複数の運営会社の売り上げ実績を伝えられ、手口を持ちかけられたという。
販売代理店は同じ時期、この2社のほかに少なくとも都内15のサイト運営会社にシステムを販売。その後、代理店の社長らは運営会社に、他社の「抜き率」の内部資料を見せるなどし、「抜かれても客は気づかない」などと言って「抜き」を持ちかけたという。
この販売代理店社長は、朝日新聞の取材に対し、「システムを売っただけでポイント抜きにはかかわっていない」と話した。コンピューター開発会社のオーナーは弁護士事務所を通じ「何も知らず驚いている。問題があったとしても販売代理店とサイト運営会社の間のことでうちは関与していない」と答えた。