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【経済】

原油価格 また上昇の動き ガソリン 夏場130円台も

2009年6月9日 朝刊

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 原油価格がじわじわと上昇を続けている。五日のニューヨーク原油先物市場で一時、七カ月ぶりとなる一バレル=七〇ドル台まで値上がりするなど、四カ月足らずで二倍以上となった。これに伴いガソリン価格も上昇し、景気回復に影響を及ぼす可能性が出てきた。

 原油価格が上昇した要因について、三菱東京UFJ銀行経済調査室の篠原令子氏は「世界景気が底打ちする兆しが見え、需要(増加)に先行き期待がある」と分析する。

 中国の景気が上向き始めるなど、世界経済の先行きに明るい見通しが出てきたことで、投資ファンドなどの資金が原油市場に流入した。石油の実需は本格回復していないものの、期待先行の買いが集まったとみられる。

 今後の見通しについて篠原氏は「五月から急上昇したので夏場は調整局面に入るが、再び緩やかに上昇して年末にかけて八〇ドルを超える可能性がある」と予測する。

 原油価格に連動して、ガソリン価格も上昇している。石油情報センターによると、今月一日現在のレギュラーガソリンの全国小売平均価格は一リットル当たり百二十円。一月十三日と比べて十四円の値上がりで、百二十円台は昨年十二月一日以来、半年ぶりとなる。

 百二十円台は「消費者が高いと感じる価格帯」(石油業界関係者)とされる。百八十円を超えた昨夏は、消費者の買い控えが起きてガソリン需要が前の年より一割減少した。

 第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは「このペースで上昇すれば、行楽シーズンの夏場に百三十円台もあり得る」と指摘。そのうえで「今年はボーナスの大幅減が予想される中、ガソリン高が家計に響いて消費が落ち込み、景気対策の効果の重しになる」と不安視する。

 

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