新人記者として千葉に赴任し、約2カ月が過ぎた。ようやく土地にも慣れてきたが、これまで暮らした横浜や東京との違いを感じることも多い。
千葉に来て、まず驚いたのは、自治体や市民による防犯パトロールの多さだ。警察関係者によると、その効果でここ数年、犯罪発生の認知件数は減少傾向にあるという。地域の安全、特に子どもの安全を考えれば、素晴らしい試みだと思う。
しかし私は、そんな防犯パトロールを見るにつけ、安心感と同時に一抹の「息苦しさ」も感じてしまう。別に自分が悪いことをするわけでもないのに、地域全体から常に見張られているような気がしてしまうのだ。
「体感治安」悪化を強調することで、かえって不安をあおっていないか。目指すべきは防犯パトロールが必要でない安全な街だ。犯罪減少の役に立ちたいが、方法を考え込んでしまう。【黒川晋史】
毎日新聞 2009年6月9日 地方版