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【主張】日中経済対話 国益絡み避けたのは残念

2009.6.9 03:32
このニュースのトピックス主張

 日中両政府の主要経済閣僚らによるハイレベル経済対話が開かれた。両国は会談後の記者会見で、知的財産権保護など11の合意文書を交わした成果を強調した。

 だが両国間に横たわる重要な懸案事項については、何ら突っ込んだ協議が行われなかった。目立ったのは中国側の消極姿勢だ。

 今回日本側が第一に問題視したのは、中国が国内で販売されるIT(情報技術)製品について、来年5月から設計図を開示させようとしている点だ。

 日本は「日中貿易の妨げになる」と改めて撤回を求めたが、中国は制度導入に変更がないことを強調した。

 強制的な設計図開示は、「知的財産権の保護」という世界の流れにも反する。中国は「ソフトの欠陥を狙ったコンピューターウイルスの侵入防止など安全性の確保が目的」と説明するが、軍事転用可能な技術情報や国家機密の漏洩(ろうえい)につながる恐れもある。

 日本にとって国益が絡む重要な問題であり、あくまでも撤回を求めていくべきだ。

 日本は中国製ギョーザ中毒事件の問題や、共同開発を約束しながら中国が一方的に開発を進めている東シナ海のガス田についても取り上げた。だが中国は真剣に対応しなかった。

 両国間の利害が絡む懸案事項に関しては、中曽根弘文外相が「日本の関心を伝えた」と会見で語った程度の協議しか行われなかったのだろう。国益がぶつかる問題を避け、表面的な成果の演出に腐心したとの疑問がわいてくる。

 経済対話は2007年12月に第1回が開かれて以来、年1回ペースでの開催が約束されていたが、中国の事情で何度も延期された。日本は足元を見透かされていたのではないか。

 中国は東アジアにおける軍事・経済力を背景に、既存の国際ルールの順守よりも、自国に都合のよい身勝手なルールを押し通そうとする姿勢を強めているようにみえる。そうした一方的な姿勢では、利害が対立する日中間だけでなく、国際社会とも真に建設的な関係は築くことができない。

 中国は来月、オバマ政権発足後初の米国との戦略・経済対話を開く。日本としては今後、経済政策で対応を同じくする米欧と緊密に連携しながら、対中交渉を進めていくべきである。

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