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社説1 北朝鮮の「テロ支援国家」再指定は当然だ(6/9)

 米国のクリントン国務長官が、北朝鮮をテロ支援国家に再指定する検討を始めたと表明した。核実験の再実施など国際社会や地域の安全を脅かす北朝鮮の挑発行為は目に余る。米オバマ政権が対話より圧力に軸足を移したのは当然である。

 ブッシュ前政権は昨年10月、北朝鮮のテロ支援国家指定を解除した。6カ国協議の合意に従って北朝鮮が核施設の無能力化を進め、核計画の検証でも合意したとし、指定解除は核問題進展を促すと説明していた。

 現実はどうか。北朝鮮は6カ国協議の合意に拘束されないと明言し、核施設の復旧や使用済み核燃料棒の再処理を再開しているもようだ。ミサイル発射を繰り返し、2度目の核実験まで強行した。指定解除の効果は皆無だったどころか、北朝鮮の暴走を助長させただけである。

 日本ではもともと、日本人を拉致した北朝鮮をテロ支援国家から外すことへの反対意見が大勢だった。外交的な成果を焦ったブッシュ前政権の失政は正さなければならない。

 北朝鮮の核への野望は、「核兵器のない世界」を目指すオバマ政権の外交路線にも大きな障害となる。経済支援などを禁じるテロ支援国家に再指定すれば、北朝鮮への打撃は大きい。早期の再指定を求めたい。

 国連安全保障理事会では北朝鮮への非難決議案の調整が続いている。国際社会が結束して強い態度で臨むとの方針では一致しているが、中国が厳しい制裁に難色を示している。

 決議が採択されても、北朝鮮への食糧やエネルギーの主要供給国である中国がどこまで履行するかは不透明だ。実効性がなければ北朝鮮への圧力は限定的なものにとどまる。

 北朝鮮の暴走を封じ込めるため、米国は日本や韓国などと連携し、独自の制裁措置も強めるべきだろう。効果的なのは金融制裁だ。

 米政府は2005年にマカオの銀行、バンコ・デルタ・アジアをマネーロンダリング(資金洗浄)の懸念先に指定し、北朝鮮関連口座の資金を凍結した。北朝鮮はドル資金の調達に苦慮し、政権にも相当な打撃を与えたが、07年には核問題の進展を促すために解除された。凍結資金も北朝鮮に返還された経緯がある。

 北朝鮮には大量破壊兵器の流出疑惑に加え、偽ドルや麻薬などの不法取引の疑いが残っている。

 気掛かりなのは、北朝鮮が拘束している2人の米国人女性記者の動向だ。北朝鮮の中央裁判所は12年の労働教化刑を言い渡した。北朝鮮は記者を人質に米国と取引するつもりだろうが、即時解放が筋である。

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