(8日、後楽園ホール、観衆=2200)日本Sバンタム級王者・木村章司(31)=花形=が同級6位の金沢知基(26)=角海老宝石=を9回1分34秒、左アッパーでKO。初防衛に成功した。普段は空調設備会社で働くサラリーマンがベルトを死守。試合後はWBC同級王者・西岡利晃(32)=帝拳=に挑戦状をたたきつけた。
サラリーマンが意地をみせた。6回に左フックで金沢の鼻から出血させると、9回に狙い澄ました左アッパーで一発KO。8回までジャッジ3人がフルマークをつける完勝だ。ベルトを腰に巻くと、木村はホッとした表情を浮かべた。
「次の目標は西岡さん! すごく尊敬しているチャンピオン。機会があればよろしくお願いします」
約2年前に空調設備会社に正社員として採用された。サプリメント代など月に3万円は体に投資する。試合1カ月前になるとマッサージ代が加わり、出費は10万円近くに及ぶこともある。家計には大きな打撃だが、妻・奈美さん(31)からは「体が資本のスポーツ。いくらかけてもかまわない」とお墨付きをもらっている。
花形進会長(62)は「やれるのであればやりたい」と防衛を重ねることを条件に、世界戦へゴーサインを出した。遅咲きの木村が地道に世界へ近づいていく。(江坂勇始)