2009年5月31日9時49分
原則すべての武器の輸出を禁じている武器輸出3原則の緩和を求める声が、自民党内などで強まっている。高性能化する武器は多国間の共同開発が主流で、制限を続ければ先端技術に乗り遅れるとの危機感からだ。ただ、平和国家の象徴として堅持されてきた経緯があり、政府が決める新しい防衛計画大綱で緩和されるかどうかは、不透明だ。
「米国以外の企業との共同研究・開発を認める」「武器の定義の緩和」。自民党の防衛政策検討小委員会は26日、こんな内容の提言案を大筋で了承した。政府の安全保障と防衛力に関する懇談会でも、「各国が得意とする分野、安いコストで製造できる部分を持ち寄って一つの戦闘機をつくる国際ネットワークをいかに形成するかが重要。その中に日本が参加できるよう考えていかねばならない」との意見があがる。
武器輸出3原則は米国との防衛協力を進める観点から、これまでも例外的に緩和されてきた。83年当時の中曽根政権は、米国への武器技術の供与を例外として認め、小泉政権は04年、弾道ミサイル防衛(BMD)システムの共同開発・生産は「武器輸出3原則によらない」とした。
さらに緩和が求められる背景には次期主力戦闘機(FX)選定をめぐる迷走がある。
防衛省が最有力候補としてきた米国の最新鋭ステルス機「F22ラプター」について、米政府は軍事技術流出を懸念する米議会の意向を踏まえ、「輸出は困難」との考えを日本側に伝えた。防衛相経験者は「3原則を緩和して日本がF22の共同開発に入っていれば、今のようにはなっていなかった」と指摘する。
代替案で浮上している新型機「F35」は米英など9カ国の共同開発。完成後は開発に加わった国から優先的に引き渡される。日本が導入を決めても配備は大幅に遅れる可能性がある。