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【国際】

米、北東アジア戦略見直し 対北 強硬論に傾く

2009年6月8日 朝刊

 【ワシントン=岩田仲弘】クリントン米国務長官が七日、北朝鮮の核実験を受けて、同国をテロ支援国家に再指定する検討を始めたことを明らかにするなど、オバマ政権は北東アジア安全保障戦略の見直しに本格着手した。

 日中韓歴訪を終えたスタインバーグ国務副長官ら政府代表団は、北朝鮮への制裁措置をめぐる各国との意見調整が当面の目的だったが、ある日米関係筋は「オバマ政権は国連安保理での制裁論議や六カ国協議の見直しにとどまらず、長期的に北東アジアの安全保障戦略そのものを練り直そうとしている」と明かした。

 背景には、オバマ大統領が進める核軍縮構想が北朝鮮の核実験により真っ向から挑戦を受けたという強い危機感がある。

 大統領の核軍縮構想は民主党のペリー元国防長官、共和党のキッシンジャー元国務長官ら超党派の安全保障問題専門家から“お墨付き”を得ている。一方でペリー氏は、講演で「(北朝鮮に対し)軍事力行使を薦めるわけではないが、(軍事的措置を)選択していれば二回の核実験を防げたかもしれない」と指摘。再度の核実験を防ぐには軍事力行使を排除すべきではないとの強硬論も示した。

 また、キッシンジャー氏も、CNNテレビのインタビューで「中国が何もしなければ、韓国と日本が核武装するだろう」と警告。

 「米国の軍事力行使」「日韓の核武装化」という国際社会の二つの懸念を払しょくするためにも新たな戦略が求められている。

 オバマ政権には、ブッシュ前政権の政策を総括しないまま対話路線を掲げ、北朝鮮の“暴発”を許したことへの反省もある。

 日本では、米国による北朝鮮のテロ支援国家指定解除が「勇み足」だったとの批判が根強いが、米国内でも共和党の上院議員八人がクリントン国務長官に、北朝鮮をテロ支援国家に再指定するよう要請した。

 こうした前政権への批判が、現政権に対する圧力に形を変えて強まる恐れが出てきたことも、北東アジア安保戦略見直しを進める大きな要因になっている。

 

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