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主張追放へ一刻も早く法改正を

公明新聞:2009年6月8日

許されぬ「事実上、野放し状態」の放置

児童ポルノ

 「児童ポルノ大国」の汚名を返上するためにも、一刻も早い法改正が必要だ。国会は速やかに審議に入るべきである。

 子どもの性的虐待画像の「単純所持」禁止などを盛り込んだ「児童買春・児童ポルノ禁止法」改正案が、与野党双方から今国会に提出されている。

 だが、児童ポルノの定義などをめぐる見解の違いや政局の影響などから、与野党間の話し合いは進んでいない。改正案はいわば、宙に浮いた格好にある。

 このまま今国会でも不成立となれば、昨年の臨時国会に続く審議未了・先送りとなる。「事実上、野放し状態」とされる日本の児童ポルノ環境を、いったいいつまで放置しておくつもりなのか。今国会中の法改正を重ねて強く求めておきたい。

 1996年にストックホルムで開かれた第1回「児童の性的搾取に反対する世界会議」以降、日本は国際社会から「児童ポルノ大国」という不名誉なレッテルを張られ続けてきた。改めて確認しておきたいのは、その理由である。日本人による児童買春ツアーが相も変わらず絶えないこと、あるいは日本発の児童ポルノ商品が大量に世界中に出回っていること、そうしたことに対してだけのレッテル張りなのか。そうではあるまい。

 最大の理由は、児童ポルノの一大生産・輸出国でありながら一向に法整備が進まず、対策の遅れが際立っている日本の政治への不満と苛立ちである。昨年のブラジルでの第3回会議で日本への名指し批判が相次いだのも、結局は「法の不整備」にあったことを忘れてはならない。

 法整備、すなわち現行法改正の焦点は、“その種の画像”を個人的に収集するだけの、いわゆる単純所持の規制にある。

 インターネットの驚異的な普及を背景に、児童ポルノを「見るだけでも犯罪」とする単純所持禁止の考え方は今や、国際社会の“常識”となっている。主要8カ国(G8)を見ても、単純所持を規制していないのは日本とロシアだけだ。国内的にも、国民の90%が規制の必要性を認めている(内閣府調査)。

公明、早期成立に全力

 公明党が主導してまとめた与党改正案は、内外のこうした“良識”の声を反映して「単純所持の禁止」を明文化するとともに、「自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノ所持等の処罰」も明記している。

 他方、民主党案も、「児童ポルノ」の定義の厳格化を必要以上に強調しているために「現実的でなく、却って捜査の妨げになる」(前田雅英・首都大学東京法科大学院教授)との指摘があるものの、「単純所持禁止」という大枠では一致している。歩み寄りは十分可能だ。

 なお、公明党は先月15日、東京・秋葉原を視察し、現行法の適用対象外である性暴力ゲームソフトなどの販売規制のあり方について調査した。改正法の成立へ、そして児童ポルノの完全な追放へ、今後も党の総力を挙げて取り組む決意である。

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