飲まないと「粗相!粗相!」 速さ競うイッキ飲み流行?集団準強姦事件を起こした京都教育大生たちは、「ダービーゲーム」と呼んでイッキ飲みをしていたと報じられている。イッキ飲みでは、この1年間で学生5人が死んでおり、未だになくならない慣習らしい。飲み会でKYとされた学生には、特別なコールをかけるともいうのだ。 事件では「ダービーゲーム」と呼ばれる「全日本コール選手権」ホームページ 競馬のように速さを競うことから付いたのだろうか。報道によると、今回の事件で、京都教育大生たちがしていたイッキ飲みは、「ダービーゲーム」と呼ばれていた。 読売新聞の2009年6月7日付記事では、ダービーゲームとは、学年や所属クラブなどのグループごとにイッキ飲みの速さを競い、グループ内で最下位になるとまたイッキ飲みをすることだとされている。被害者の女子学生(当時19歳)も、このゲームに参加していたという。 大学では、こんなイッキ飲みがはやっているのか。 京都教育大に聞くと、企画広報課では、「学生への事情聴取から、イッキ飲みをしていたらしいと把握しています」とした。ただ、ダービーゲームと呼んでいたとは聞いていないとする。事件を中心に聞いているため、どんな飲み方をしていたかまでは関知していないと言う。 そこで、J-CASTニュースでは、有名大学の学生や新卒者ら数人に聞いてみた。いずれも、ダービーゲームは初耳だと言う。イッキ飲みについては、「あまりない」「新歓コンパぐらい」との声もあったが、数人で飲む速さを競うことがよくあるとする有名私大の3年生男子(21)もいた。 この学生によると、イッキ飲みでは、変わったコールをかけるというのだ。 「新歓コンパやゼミ同士の飲み会では、盛り上がるためによくやりますね。コールを集めたDVDなどメディアの影響なんですよ。サークルなどによって、どんなコールをするかは違います。イッキ飲みはその場の空気によって左右され、空気を読めないと『粗相!粗相!』とコールがかかります」 ここ1年間で、学生5人が犠牲コールのDVDとは、2005年から発売されている「全日本コール選手権」のことだ。内容は、有名大学のサークルがイッキコールを競うもので、これまでに3回、選手権大会が開かれている。審査委員長は、イラストレーターのみうらじゅんさんらが歴任した。ただ、ホームページ上では、「出場者たちの健康状態を随時チェックし、突発的な事故が起こらないよう、万全な対策を整えた上で行っておりますので、安易な気持ちで真似をしたり、嫌がる相手にムリヤリ飲ませるのは絶対にやめましょう!」とイッキ飲みそのものは推奨していない。 「イッキ」という言葉は、お笑いコンビとんねるずによる1984年の歌で知られ、慶大体育会が「イッキ!イッキ!」で流行語大賞を翌年に受賞して広まった。しかし、イッキ飲みによる死亡事故をきっかけに、1993年から民間の防止キャンペーンなどが展開されるようになっている。 それでも、イッキ飲みの事故はなくならず、キャンペーンを手がけるイッキ飲み防止連絡協議会によると、2009年3月までの1年間で学生5人が犠牲になった。協議会事務局の馬場亜紀子さんは、ダービーゲームについて「初めて聞きました」としながらも、こう話す。 「イッキ飲みの速さを競うゲームには、集団によっていろんな呼び方があるようです。また、自己紹介で失敗したりすると、コールではやして飲ませることもあるようですね。イッキ飲みがなくならないのは、集団ごとにきずなを確認する道具として使っているからでしょう。今の学生には、気の弱さも見え、拒むことでけんかになるのを恐れています。コミュニケーションできないから飲んでしまうわけです」 イッキ飲みをどう防ぐかについては、馬場さんは、「アルコールについての教育が足りないと思います。飲み方を間違えると、命を奪われる薬物であることを教える必要があります。口先だけではなく、実際に飲み方を教えるなど、命を守る意識に訴えかけなければなりません」と話している。
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