■ 「勝つ日本」 石原慎太郎 田原総一朗 著
石原の「アメリカ信仰を捨てよ」という本を読んでいたら、この新刊が登場したので、こちらを先に読んでしまった。
内容的には重複する部分も多いので、もう「アメリカ信仰・・・」は読まないと思う。
以前にもどこかに書いたが、私は昭和30年代頃に流行ったとされる“慎太郎カット”を採用している。
子供の頃はずっと「慎太郎」だった(母が『お前には慎太郎が一番似合う。』と言うのです。)が、中学あたりでちょっと恥ずかしくなり普通のカットにしていたものの、数年前から再び「慎太郎」に変えた。(ちょっと長いめの「慎太郎」だけど。)
困るのは、散髪屋のくせに「慎太郎刈り」を知らない店員が結構いること。
年配の人ならツーカーで「はい、わかりました。」とくるのだが、若い従業員だと「慎太郎カット」と言っても全然分かってくれなかったりする。
そんなときは仕方が無いから、「長いめのスポーツ刈り」と言ってみたりする。
だが、実際には全然違う。
側面だけスポーツ刈りにするのが、「慎太郎カット」の奥義なのだ!(笑)
余談が長くなった。
さてさて。
相も変わらず、石原の言動には笑わせられる。
まったくこの人も、不思議な人である。
歯に衣着せず、思ったことをストレートに言うタイプ。
非常に歯切れが良いのは確かだが、敵を作りやすい。
先頃まで読んでいた、彼の「アメリカ信仰を捨てよ」も、断定口調のオンパレードだ!
(タイトルからして、命令形ではないか!)
石原慎太郎と一橋総合研究所の共著ということになっているが、おそらく殆ど全文彼が書いたのだろう。
思った通りで、田原総一朗氏との共著であるこの本も、田原氏の発言に対する同意や相づちというものが・・・欠落している(笑)。
(普通はある程度相手に合わせるものなのだが…。(笑))
一章ずつ分担して書いているのだが、前の章で田原氏が書いた(実際には言った内容をライターが文章化しているだけなのかも知れないが。)内容を受けて“次の章を書く”という姿勢に乏しいのだ。(そういう姿勢が全く無いとまでは言わないが。)
こういう“共著”というのも珍しい。
本の中に書いてあったが、この二人の初対面は、喧嘩に終わったと言う。
喧嘩に終わったものの、後で石原の方からこの喧嘩の内容を面白がって、「雑誌に掲載したい。」と田原に申し入れをしてきたということのようである。
私は石原慎太郎という人物を、非常に買ってはいるのだが、彼のこの性質を大いに危惧するところなのである。
彼が将来、日本の首相にでもなったとして、その時依然としてこの性格を続けていると、どこかで必ず失脚させられる局面が来ると思うのだ…。
世の中に「歯に衣着せずものを言う人」は多い。 現に私もどちらかと言えばそういうタイプではある。
しかし、10代20代ならいざ知らず、60を越えてなおそういう人というのは、私はちょっと他に知らない(笑)。
彼の息子も時々テレビに出ているが、テレビで見た限りでは、「(親爺よりも)息子の方がよっぽど人間が出来ている。」といった印象なのだ。
慎太郎ももう、ほんのちょっとでいいから大人になってくれると、総理にうってつけだと思うのだが…、如何なものであろうか…?
(少なくとも、「日本を変えてくれそう」な気にさせてくれる政治家の筆頭は、彼なのだから…。)
石原の発言を聞いていると、今日にでも北朝鮮が日本に侵攻してくるのではないかといった恐怖を感じてしまう。
(その手の話が多くて、怖くなってしまう。)
今日本は護憲派と改憲派で争っているが、石原に言わせると、『一度テポドンが、京都の金閣寺にでも落ちてくれたらと思う。』とまで言っている。
そこまでの事態にならないと、この国(の護憲派)は軍事の必要性に目覚めないという論理なのだ。
(尤も、田原の方は、北朝鮮が日本に侵攻してくる可能性は非常に低いと見ているようだが…。)
日本は日米安保によって守られていると思っている人は多いが、いざという時、アメリカが日本を守って戦うなどということがあり得ない事を 二人は共通の認識として所有している。
軍備には、「攻めるための軍備」と「攻められないための軍備」がある。
後者の軍備をも必要なしとするのは、将来日本が中国なりに攻め入られたとして、その時「まったく抵抗致しません。」という意思表示でしかないのだ。
これでは負け犬と同じである。 日本はこのような国であってはならない。
従って、私も石原のこの意見には大賛成である!(テポドンだけは別だが。(笑))
「攻められないための軍備」とは、必ずしもそれを使うことを前提とはしていない。
そういう軍備を「持っている」という事実そのものが、高度に政治的な駆け引きとして通用するのである。
その意味で、軍備は必要なのである。
この本の中で、石原は徹底して、ここ数年日本がアメリカ(や中国)に言いように嘗められていることを力説している。
私としても、クリントンが大統領になってからというもの、日本はアメリカにやられっぱなしだという印象がある。
今回、大統領が共和党になったのは個人的に嬉しい。(どう見ても、ブッシュよりゴアの方が手強そうだ。)
中国と言えば、毎年日本から何千億円ものODA(資金援助)を受けていながら、それを使って軍事増強(対日本を想定した軍備もあり得る。)にまわすし、はたまた他国への(中国からの)ODAを行っていたりしているのだ。
そのくせ、日本の軍事化に真っ向から抗議する民族なのである!
(本当に、嘗めているとしか言いようが無いではないか!)
笑ってしまったのは、石原が『中国は分裂させたほうがいい。』と言っていたこと。(笑)
本当に読んでいて思わず笑ってしまった(^^)。
ビジネス書を読んで笑うというのも珍しい…。
このような石原の発言に対して、田原氏は「世代の違い」(といっても二歳の違いでしかないのだが。)として、柔らかく反論している。
だがこれは、私に言わせれば「世代の違い」などではなく、性格の問題だろう。
本当はもっと著書の内容について触れるべきなのだろうが、私としては「アメリカ信仰・・・」に続いてのこの本であったためか、(個人的に)内容に新鮮さを欠いていたので、これ以上踏み込んで書いてみる気がしなくなってしまった…。
2001/01/20