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【東京】

<東京カフェ> 100年前の教訓

2009年6月8日

 同じ過ちが繰り返されないように−。先日訪れた「国立ハンセン病資料館」(東村山市)の通路には、施設の設立目的が、そう掲示されていた。

 同館はハンセン病療養所「多磨全生園」に隣接する。患者の証言や写真を展示し、「仏罰」「血筋の問題」など、偏見と差別に満ちたハンセン病の歴史を伝えている。

 今年は、同園など公立療養所が開所し、患者の隔離政策が進められてから百年。新型インフルエンザの感染拡大が国内で起きたのは、折しも節目の年、同館で歴史を振り返る企画展が開かれていたころの出来事だった。

 騒動の中、発熱がある人を病院が診察拒否するなどの過剰反応が表に出た。「弱毒性なのに騒ぎすぎ。感染者が悪者かのようだ」との意見を読者から受けたこともある。

 感染症への正しい知識と冷静な対応。その重要性は、情報伝達の一端を担う私たちを含め、社会全体に求められている。

 一世紀前の教訓は、今も生きている。 (北川成史)

 

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