かぐや姫がとうとう月に帰ることになった。宇宙航空研究開発機構のホームページによると、月周回衛星「かぐや」を11日に月に落下させるという。
 2007年9月に国産のH2Aロケットで鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、10月に高度100キロの月周回軌道に入った。14種の観測機器を駆使して月の謎に迫ってきたが、間もなく役割を終える。
 これまで送られてきたハイビジョンによる鮮明な映像は印象的だ。月の地平線から地球が昇るところを連続してとらえた映像では、青い海と白い雲が美しく、まさに宇宙船地球号である。
 雑誌ニュートンの別冊「月世界への旅」は、かぐやの観測成果を紹介している。地下数百メートルにある層状構造の発見や月の裏側の重力異常などを解明し、月の起源や進化を研究するのに大きな成果を挙げたという。
 現在かぐやは通常の運用を終え、高度を10―30キロに下げて観測を続けている。最接近してのクレーターの姿などは航空機から眺めたような迫力がある。こうした映像が送られてくるのもあとわずかだ。
 かぐやの後継機では、20年ごろに無人探査機による月面着陸を目指し、日本得意の二足歩行ロボットの活用も計画に上がっている。膨大な予算が問題だが、国際連携を進め夢のあるものとしたい。