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社説

BSE検査 基準の緩和を急がずに(6月3日)

 牛海綿状脳症(BSE)の発生を監視している国際獣疫事務局(OIE)が、日本を「BSEのリスクを管理している国」に認定した。日本のBSE対策は信頼できるというお墨付きを得たということだろう。

 これを受け、政府は国内の検査基準を緩和する方向で検討を始める。だが、国際機関の評価と国内基準の見直しは、そもそも別の話だ。

 食の安全にかかわる事柄である。拙速は許されない。消費者の不安や生産現場の混乱を招かぬよう、慎重な対応を政府に求めたい。

 日本のBSE検査は、生後21カ月以上の牛を対象としている。厚生労働省は、これを31カ月以上とする案を念頭に置いている。

 検査基準を見直すのは、国内で若い牛がBSEに感染する危険性は低いとの判断があるためだ。

 2007年度以降、国内で感染が確認された牛は5頭にとどまり、いずれも生後65カ月以上だった。

 しかし、03年には生後21カ月の牛の感染例が報告されている。

 肉骨粉飼料の禁止などの対策が進んでいるとはいえ、若い牛が感染するリスクはゼロとはいえない。

 人間の脳を海綿状にするヤコブ病との関連や、BSEの発症・感染の仕組みも解明されていない。

 それなのに、なぜ今、基準の緩和が必要なのか。納得できる政府の説明が聞きたい。

 OIEは、BSE検査の資金に乏しい途上国に配慮し、最小限の安全基準を設けているとの見方もある。その評価が、日本の消費者が求める基準と合致するとは限らない。

 国内でBSEの発生が確認された当初、国は全頭検査を行っていた。05年に対象を生後21カ月以上に緩和し、昨年からは都道府県への検査費用の補助も打ち切った。

 このため、大半の都道府県は自前で全頭検査を続けている。消費者の安全志向にこたえるためだ。

 国産牛肉の安全性は、都道府県による全頭検査によって担保されてきたといえる。

 とくに畜産基地の北海道では、生後20カ月前後で出荷されるホルスタイン種の雄牛の生産量が多い。

 道は、全頭検査の費用として、本年度は約2800万円を計上した。道産牛肉の消費量も増加傾向で、消費者の信頼も深まりつつある。

 この時期に、国が安易に検査基準を緩和すれば、せっかく培った消費者の信頼が揺らぎかねない。

 北農中央会は、基準見直しは「消費者の理解を踏まえ慎重に進めるべきだ」との声明を発表した。

 生産者の声に、政府は真剣に耳を傾けてもらいたい。

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