時代考証なしの韓国ドラマが反韓感情生む(上)
隋の煬帝の屏風に毛沢東の落款
韓国の街並み撮影し「マカオ」?
在韓中国大使館で働く陳俊傑公報官は、4月に終了したSBSドラマ『カインとアベル』を見て、「憤まんやるかたなかった」と言った。「ドラマの脚本家は考証もせずに作品を書くんですか?ドラマの中の上海の街並みは2009年の姿ではなく、1960年代のものに近いですね。上海のような最先端都市をあれほど遅れた地域として描くなんて…。あ然としました」。
輸出なしではほとんどのドラマの採算が合わない時代。「韓流ブームを続かせたいなら、徹底した時代・背景考証をまず行わなければ」という声が高まっている。日本や中国など近い国に関する描写を少しでも間違えば、「文化・歴史の歪曲(わいきょく)」と非難されるのはもちろん、頼みの綱である輸出も難しくなるためだ。
◆安易な設定が歪曲へ
今年3月、中国人民日報の姉妹紙「環球時報」は、「中国を歪曲する韓国ドラマ」という見出しの記事を掲載した。『カインとアベル』に登場する中国・上海の風景は、まるで60-70年代の農村の風景のように時代遅れに描かれていたというのが主な内容。同紙は「中国の暴力団が真っ昼間から銃を撃つシーン、中国の警察がソ・ジソブを水で拷問するシーンもあった。現実ではありえない事」と書いている。
上海をこのように暗く陰気くさい街に描いたのは、ドラマ上の設定を強調するため。『カインとアベル』は遺産を狙い兄が弟を殺そうとするというストーリー。制作者サイドは、「死地をさまよう主人公の苦しみを強調するため」と説明しているが、中国では「考証もせずにドラマを作るのは、どんな言い訳をしたとしても許せない歪曲」と抗議している。
歴史ドラマも中国メディアに袋だたきされている。SBS時代劇『淵蓋蘇文(ヨンゲソムン)』では、隋の煬帝が座っているシーンに、毛沢東の落款が押されている「びょうぶ」が登場するというとんでもないミスを訂正・編集もせず放送し、批判された。
中国大使館サイドは「中国の王宮の大きさや、中国の監獄の様子をきちんと取材せずに作った歴史ドラマが多すぎる。“韓国の脚本家をまとめて連れてきて、中国文化や歴史を教える探訪プログラムを作らなければ”という意見まである」と言った。
ソン・ヘジン記者
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