October
08
2008
素粒子物理学が脚光を浴び始めた原因のひとつに、宇宙物理学の閉塞感とあまりに突飛な理論ばかりが登場してしまって、何やらまったく異次元の話ばかりになっちゃったことがあるでしょう。それに理論を実証する手段も、あまりに高額な投資が必要になってしまったことも要因なのかな。相対性理論と量子力学の融合理論(大統一理論)も、結局のところ成功していない。この壁はエベレスト南東稜に厳冬期・無酸素・無装備で挑むようなもの!?花形の研究者はみな、このジャンルにひしめいているのだが、ここ数年間はさしたる成果がないと言ってもいい。
一方、今回受賞の素粒子力学は、コツコツと着実に成果を生み出してきました。「宇宙の起源」という壮大なテーマにチャレンジする上で、物質の成り立ちを解明することは不可欠でしょう。まず理論が提唱されて、時間とともに実証されてゆく。こういう壮大なストーリーに感動しないではいられません。先に受賞された小柴博士のスーパーカミオカンデにおける検証もビックバンを裏付ける決定的な成果として非常に価値のあるものとして感動しましたが、今回の素粒子に関する研究は非常に価値があると僕でも理解できます。南部博士の理論をより進化させ、小林・益川の両博士が決定的なものとする。そのことでもしかすると、「なぜ物質は質量をもつのか?」という永遠の謎が解け、宇宙誕生の謎が、そして進化の歴史そのものが、白日のもとにさらされる日がくるかも知れないですね。
世界経済のバブル崩壊が、金融恐慌が目前に迫り、アメリカ新自由主義は批判の的ですが、好景気だったからこそ欧州合同原子核研究機関のハドロン衝突型加速器みたいなものが建設できた。ここでの成果はかならず人類に大いなる文化的な成果をもたらすことでしょう。アメリカがスペースシャトル計画初期の段階で打ち上げたハッブル宇宙望遠鏡の成果といったら本当に凄かった。消え行く過剰流動性はあっても、こうして「モノ」でしっかりと残ったなら、それは文化を形成してゆきます。経済だってしっかりとモノで裏付けていればこんなにならないのにね。いい教訓ですね。
とにかく閉塞感の強い日本にとって、これほど朗報はありません。
南部陽一郎博士、小林誠博士、益川敏英博士
ノーベル物理学賞受賞 おめでとうございます。
Posted by 有海啓介 | この記事のURL |