きょうのコラム「時鐘」 2009年6月7日

 七尾市中島で空からオタマジャクシが降ってきたという話に驚かされたが、今度は白山市の駐車場にも降ってきた。失われた小さな命が哀れだが、初夏のミステリーに興味が募る

科学が進み、情報が広がる時代はありがたい。ひと昔前なら、不吉な出来事の前触れ、と、いたずらに不安をあおるやからも出たに違いない

騒然とした幕末に、夜ごと神社のお札が空から降ってきた、と歴史の授業で習った。降ったのではなく、世直しをたくらむ者たちが屋根から降らせたのである。不思議そうに見えることにも、わけはある。「タネも仕掛けも、チョットあるよ」と笑わせ、鮮やかな技を見せる手品師もいる

降ったのではないが、いつの間にか通帳にお金が振り込まれていた。「お上」からの定額給付金。が、時ならぬ大盤振る舞いにも、さほど興奮する気配が広がらないのは、お上が仕込む増税絡みの「タネや仕掛け」が、ちらつくからだろう

オタマジャクシはさておき、定額給付金振り込みは、その吉凶を見定めたくなる。が、抜かぬのか、それとも抜けないのか、解散という伝家の宝刀は音無しである。