October
01
2008
一昨日のNY株式市場は、ダウ平均▲777ドルと「史上最大の下げ幅」だったようで、これはもう恐慌突入と言ってもおかしくない状況です。けれど、誰も「恐慌」なんて思わないだろうな。これがそもそも、今回のサブプライム問題に端を発した金融危機が、異常であるといえる根拠になるよね。
2007年なんて、法学部卒業生が初任給5000万円!MBAだと7000万円、トレーダーは平均3億円以上の年俸・・・。こんな夢のような話が実際に当たり前だったウォール街が、金融危機に見舞われた。その先鋒だった証券会社が次々に瞬く間に破綻って言ったってね、そんなこと当たり前だよね。儲ければ何もかも是・・・そんな考え方がいつまでも続くわけない。
アメリカ政府も、銀行も、こういう拝金主義の宣伝・普及に躍起になっていた。貿易赤字で国内にドルがなくなっちゃってどうにもならない状況に陥りそうになったとき、金融資本主義の御旗を振りかざして、海外の投資資金を熊手でかき集めたのね。グローバリズムを演出して中国で安く作って企業業績を上げる。住宅バブルを誘導して資金を呼び込む。こんなことはすべて、官民一体となってやってきたこと。製造業人口が年々衰退する中で、金融業を含むサービス業の比率はアメリカでは驚くほど高いんです。多分50%を優に超えている。だからサブプライム問題がでて、金融危機に陥ってという今回のプロセスは、アメリカにとっては本当に「危機」だということです。
だけど、モラルがないからね。それにドルもないから、コマーシャルペーパービジネスに頼る。デリバティブで金融商品を次々に作り出してバンバン発行する。そんなもの「タダの紙切れだ!」って誰かが叫ぶまではとことん行ってしまう。だからバブルなんです。でも最悪なのは、これらの価値を支えるというか、裏付けるとされた第三者(といっても民間業者だけど・・・)「格付け」が実際はみんな「インチキ」だったということです。AAAとかねBB+とか、日本の銀行などもこの格付けに翻弄された時期があったけどね。結果としてなんの根拠もない格付けを張られた証券化が、当たり前のように行われていたんです。もう最悪!
というわけて、いま、アメリカでは「夢のようなあぶく銭」が、どんどん消えています。そんなもの、最初からないんです。金融機関だって不動産をきちんと担保すれば、こんなことにはならない。そういう資産をオフバランス化して証券化して販売しちゃえばね、利益はでるわ、引き当て金は積まなくてすむわ、もうウハウハなんだけど、うまい話には裏がある。リスクもある。そのリスクが突然やってきて、破綻しちゃうだけ。そんなもの、自己責任にきまってますよ。だけど、まだ、金融システムを救うには公的資金の導入が!!!というスタンス。下院で公的資金導入議案が否決されたとき、「えらい!」「画期的」と思いました。公的資金の導入は、これはどう考えても不公平以外の何者でもない。資本主義、自由主義が聞いてあきれます。これではまるで社会主義国家です。
日本だって、公的資金を投入して再生したメガバンクが、大金を投じて出資したり、買収したり・・・。民間企業や個人はまったく見捨てられるというのにね。そういうことに憤りを感じないわけがない。というか、そもそも、そういう手法はもう時代遅れというか、国民の同意を得られないものなのでしょう。日本に公的資金導入を強く要求したのはアメリカなんですね、その本家本元のアメリカが国民や議会の賛同を得られないなんて、笑っちゃいますね。
あぶく銭は消えればいいんです。どうせろくなことないんだから。さっき書いた高収入の金融関係のサラリーマン、傍目でみれば破綻してもそんなに収入があったんだから、と思いますけどね。実際、人間なんて収入が増えれば、大きな買い物するし、出費も増えるんです。マンションなんかローン組んで買ってたら、もう今後が大変だろうし、それはそれで厳しいことに変わりはない。だからみんな青息吐息なんでしょう。
こんなことだから、世界の大多数の人にとっては、「そんなの関係ネーー!」なんですね。あぶく銭がいくら増えようと消えようと生活とはかなり無縁の出来事。そのあたりが変なんです。異常なんです。だから今回の金融危機できちんと実体経済に沿った経済活動を行っている企業や個人にたいして、極力影響しないようにしっかりとした政策を行って欲しいんです。はっきり言って、「ばら撒き」といわれようが、弱者を支援することが政府の役割なんだ。個人や中小企業をこのバカな連中が巻き起こしたマネーゲームの尻拭いに巻き込まないで欲しいんです。貸し渋り、貸し剥がしなんてもってのほか!アメリカ資本主義に迎合して何でも吸い上げられてきた事実をみれば、それこそ自国経済の「ばら撒き」じゃんね。「小さな政府」が聞いてあきれるよ。アメリカなんて思い切り大きな政府になっちゃってるよ。
格好いいスーツ着て、街を闊歩していた金融機関のサラリーマンからね、横目で見られながらせっせと部品整理したりね、食事で隣り合わせた中年の幹部(見たいな人)達の景気のいい会話に歯軋りしたりね・・・・。これが格差社会なのか、としみじみ思ったりね。だけど、やはりほかの事できないから最後は「ものづくり」に回帰して、しっかりやろうと。諦めずに頑張ろうというのは、少なくとも間違った選択ではないと思いました。お蔭様で売上げも毎月回復してきています。新製品の開発も切らすことなく続けているし、そういう与えられたスタンスを厳しいけれどしっかりと守って行かないと行けない。
今回の金融危機なんか、ぜんぜん大丈夫。しっかりと実体経済を支えている人たちにとってはなんでもないことです。株価なんか気にしないでしっかりと仕事しましょうね。僕も七転八起の精神で、必死になって頑張りますので。
Posted by 有海啓介 | この記事のURL |