September
04
2008
■OLIEON SLIMSURE■■■
[特徴総論]
数少ない自作用マイクロATXスリムタワーケースの中で圧倒的な存在感を放つケース、それがOLIEON SLIMSUREです。ナショナルメーカーPCが中心のこのスリムタワーカテゴリに、鮮烈にデビューした「SLIMUSURE」シリーズは、OLIEONデザインと徹底的に極められたナチュラルエアフロー構造の採用で、成熟を迎えました。2007年、日本のステーションカテゴリをいち早く開拓したOLIEONシリーズの波及デザインモデルとして、デビュー以来ベストセラーの秘密は、カテゴリ唯一の自作用フルアルミケースであること、このカテゴリではレアな電源ボトム搭載を採用していること、そして排気ファン2基ですべてのベンチレーションをオペレートする冷却性能と静音性能にあります。省スペースモデルでも自作したい、スリムタワーの強いPCが欲しいという日本の自作ユーザの声から生まれたOLIEON SLIMSUREは、WiNDyの技術とノウハウが惜しみなく投入されています。
また製造は、もちろんWiNDyオリジナルのバリエーション生産(多品種少量生産システム)と伝統のハンドワークを匠に組み合わせた手法。他社のアルミケース/スティールケースが素材削減のために薄板化し、金型による量産に偏るのとは一線を画した独自手法です。WiNDyのアルミケースは、工業品でありながらクラフト的手法を用いるため、ハイゲージでのシャシーストラクチャが可能であり、それによって比較できないハイレベルの基本ポテンシャルもつ製品となっています。
[特徴]
■使用素材について
アルミ素材は世界でも最高水準の圧延技術を持つ日本製(古河スカイ製)を指定しています。これは、アルミ組成の均質性により加工時のクラック防止が可能であるとともに、板圧の均質性が精密加工時のバラつきをなくし、またアルマイト処理の色目に多大な影響があるためです。材質は理想的な硬度と熱伝導率を両立したA5052を指定仕様としています。
また、1.5ミリ厚というハイゲージアルミを用いるために、WiNDyのバリエーション生産技術が不可欠です。他社製品の通常加工では、素材費高騰の折、薄板化が急速に進行しており、強度確保のための絞り加工が必須のためプレス機による金型加工が主流を占めます。しかし、金型絞り加工では、1.5ミリハイゲージの加工は困難であり、類似品は非常に限定されているといえます。本機は、そのハイゲージアルミを用いることで、シャシー全体の剛性、熱容量、振動吸収性を飛躍的に向上させるとともに、新たな取り付け手法の採用により、シャシー剛性は類を見ないレベルへと昇華されています。そこに、WiNDy製品の本質的なアイデンティティがあるといっても過言ではありません。
■構造について
MicroATXスリムタワーとしての構造は、ケース剛性重視以上の大きな壁に直面します。限界まで制限された内部空間でのパーツ冷却構造を徹底的に追及すること、そしてそのためのパーツレイアウト。大口径ファン搭載による強制冷却もかなわぬそのサイズを克服する鍵は、いうまでもなく長年に渡って培われたデータとノウハウなのです。その発想はナチュラルアスピレーションでのナチュラル冷却とファンによるベンチレーションの巧みな組み合わせ。電源ボトム搭載で底部に滞留する熱を電源ファンで排気するとともに、前面広範囲からの自然吸気をトップに配された2基の排気ファンで処理する手法は、自然な空気の流れにマッチした高効率冷却手法です。そして、そのフロー上に巧みに配されたパーツレイアウトに、WiNDyの構造設計技術が生かされています。
■デザイン
PCケースのフルアルミ化を実現したのももちろん、WiNDyが世界初(シートメタルベース)。フルアルミである以上、素材の質感を最大限に尊重したソリッドなデザインが特徴となっています。本機は、2006年後半にデビューしいち早く日本でステーションカテゴリを提唱したOLIEONデザインをスリムタワー型に応用したもので、アルミ素材のソリッド感と吸気孔のツートーンカラーが、アクセントとなっています。
■冷却性能
SLIM-TOWERというタイトな空間と制約された条件の中で、もっとも効率の高いベンチレーションを追求することが、自作用ケースとして必須の条件であることは言うまでもありません。そして、その条件下で可能な限りの静音化を果たすこともマルチメディア対応型PCの必須条件でもあります。基本的にダイレクトノイズの原因となる前面ファンを排した4種類ものプロトレイアウトから最適なベンチレーションレイアウトを選び抜いてなお、パーツ実装時のノイズを遮断するチューニングを施すという徹底した姿勢がWiNDyの拘りでもあります。
□前面吸気ファンレス
ダイレクトノイズの主要因となる前面吸気ファンを排してなお、同レベルのベンチレーション効果を得るためには、吸気抵抗の限りない低減が必須となります。OLIEON SLIMSUREでは、前面パネルの吸気面積の拡大によって、吸気ファンレス構造ながらこのパーツ密度のケースでは最良の吸気効率を実現しています。
□電源下部搭載
内部空間のきわめてタイトなスリムタワータイプでは、電源冷却は大きな課題のひとつです。OLIEON SLIMSUREでは、WiNDy初の試みとして電源下部搭載を採用。シャシー底部吸気、背面排気という電源独自の冷却構造を実現しています。フレッシュエアを常に吸気可能なこの方法により、常に最良の電源動作環境を得ることができるとともに、ファン回転数を低回転に抑え、ノイズ発生位置を底面とすることで、きわめて静音な動作を実現しています。
□上面デュアルファン
OLIEON SLIMSUREのベンチレーションを一手に引き受けるのは上面デュアル排気ファン。きわめてタイトなスリムタワー内部空間において実現可能な最大級のエアフローレイアウトを研究するとともに、パーツ搭載位置を可能な限り調整し、ケース内部全域で均等なエアフローを追求、効率の高い熱排出を実現しています。
□冷却効率の高いHDD搭載位置
前面吸気孔とダイレクトな位置に設定されたHDD搭載位置は、可能な限りHDD周りの空間を稼ぎ出すことで、前面ファン搭載時と遜色のない熱排出効果を生み出しました。その他にもHDDを表/裏面どちらでも取付け可能なHDDホルダーにより、ケーブルの取り回しや排熱の微調整などが容易で柔軟になりました。
□アルミシャシーは全身ヒートシンク
スリム化による非常にタイトな内部空間では、熱排出効果を限りなく追求する姿勢が重要なのは言うまでもありません。静音化を追求する、耐久性を追及する場合、そのケースの持つ熱排出基本性能がものを言う。もちろんWiNDy OLIEON SLIMSUREはフルアルミシャシー採用、各パーツの発生熱を熱容量豊かなアルミシャシーが受け止める全身ヒートシンク構造。きわめて高い放熱面積とともに、PCの基本性能を支えます。
■静音ポテンシャル
「世界一の静音ケース」というキャッチフレーズほど陳腐なものはありません。たとえどのようなケースでも無音に限りなく近いケースファンを搭載すれば実現できること。ナンセンス以外の何者でもありません。静音化で問題なのは「その仕様で十分な冷却性能を確保した上で、静音化対応できること」なのであり、ケースは常にそのポテンシャルを確保していなくてはなりません。ケースファンノイズの問題をさておけば、静音ポテンシャルの高いケースとは、振動吸収性/振動伝達防止性ノイズカットのための密閉性こそが重要なファクターとなります。本機は、スティールケースとしても異例のハイゲージシャシー/高精度加工技術による密閉性能/考え抜かれた各構成部品の取り付け方法等により、ポテンシャル確保に万全を期しています。特に質量が振動減衰効果に多大な影響があることに異論はありません。
■仕上世界で始めてWiNDyが採用したPCケース仕上げ、アルマイト。幾多の経験を経て現在のWiNDyアルマイトは、アルミ素材特性を生かしたソリッド感重視の仕様となっています。また、お約束の高品位塗装は、そのすべてが職人のハンドワークによる手塗り。2コートのハイクオリティは、メタリック素材の含有比率、乾燥時間、塗膜厚、光沢等すべてがオリジナルです。双方ともに世界最高水準の品質を誇ると言っても過言ではありません。
Posted by 有海啓介 | この記事のURL |