2009年01月09日

年収100億円 退職金1000億円 オトコの経営ノウハウ@ ウイニング 勝利の経営

最盛期の年収は9400万ドル、退職金は自社株も含めて10億ドルと、超高額の報酬が、さすがのアメリカでも、「貰いすぎ」批判を呼び、その人員リストラを躊躇しない経営手法への賛否まで含め、良くも悪くも20世紀後半を代表する超カリスマ経営者がGEの元CEOであるジャック・ウェルチ。株価のために人をクビにしまくって、自分には天文学的な報酬ということで、派遣村を組織し、「格差社会」「市場原理主義」批判をしているような人達からしてみたら悪の権化、サタンみたいな存在こそが、彼である。

そんなジャック・ウェルチが、自らの経営体験から身を持って学んだノウハウを惜しげもなく明かしたのが、この本。ビジネス書を読みまくってる私にとっても、これはオールタイムベスト3に入る本、実際の役立ち度では、ナンバー1かも。

ウィニング 勝利の経営ウィニング 勝利の経営
著者:ジャック・ウェルチ
販売元:日本経済新聞社
発売日:2005-09-13
おすすめ度:5.0
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【推薦の言葉】
「この1冊があれば、もう他の経営書はいらなくなるだろう」
――ウォーレン・バフェット(バークシャー・ハザウェイ会長)
「新人からベテランまで、あらゆる人が使える、わかりやすく
て網羅的なビジネス成功指南本だ」
――ビル・ゲイツ(マイクロソフト会長)
本書の内容
●優秀な人材とダメな人材を、どう扱ったらいいのか
●ライバル会社に勝つ・戦略・の選び方
●社内に率直なコミュニケーションを根づかせるには
●いつもは退屈な予算作りを、もっと楽しくする方法
●新規事業に挑戦するときのガイドライン
●昇進するためにやるべきこと、やってはいけないこと
●シックス・シグマはなぜ重要か
●M&Aの利点と落とし穴
●人に辞めてもらうときのポイント
●仕事と家庭のバランスをとる秘訣……etc

前置きだけ聞くと、超エリートの自慢話を上から目線で聞かされるのか、と思うだろう。しかし、実際の内容はまったく逆なのだ。年収100億円オトコが実際にしでかした失敗談までもが、率直かつ正直に、ユーモアたっぷりに語られているところが、この本の最も貴重なところである。

業績が上がらない社員を解雇する際に注意するべき点を紹介するエピソードだけでも、引用してみよう。

ウィニング 勝利の経営 -149Pより。
ビジネススクールで解雇の方法を教えるというのも、聞いたことがない。
〜中略〜
生まれつき、クビにするのが上手な人もいるだろう。が、私は違う。何年もやってきているが、いまだに慣れるということはない。特に若いころはひどかった。

もっとも心の痛む思い出は。ピッツフィールドでプラスチック事業部の部長をしていたときのこと。息子のジョンがスクールバスに乗り込むと、一人の男の子がジョンの顔にパンチを喰らわした。私はその坊やの父親を前日に解雇していた。明らかに、私のやり方が悪かったせいだ。私はうまくこなしたと思っていたが、とんでもない。その坊やの家族は、そうは思わなかったのだから。


どうだろうか。自分の恥ずかしい失敗談をここまで率直に語る姿勢には、正直しびれてしまった。

これ以外にも、採用すべき人間、昇進させるべき人間の基準や、採用の面接で必ず!聞くべきこと、予算や事業計画の立案プロセス(ああ、この毎年繰り返される年中行事よ!)、新規事業への参入や、M&Aをするときの注意点について、こんなに実戦的かつ実践的に紹介してくれるビジネス書は、類が無い。

凡庸なMBA的テキストの、殺菌消毒の後にレトルトパックにされてしまったような退屈さ、陳腐さとは、正反対の、切れば血が出るような鮮度のストリートワイズな経営ノウハウが、詰まりまくっている。良くも悪くも、ある種の「外資」的なカルチャーが理想とする経営スタイル、考え方を知る上では、最高のテキストだろう。

トム・ピーターズの本は、コンサルタントらしく、いい意味での「浮つき」「飛躍」が楽しいのだけど、この本からは、百戦錬磨の経営者の凄み」が匂い立ってくる。

失業中の人から、超大企業のCEOまで、およそ「ビジネス」に興味のある人でまだ読んでいない人には、とにかく一度は読んでみて!!と、これほど、安心して万人にオススメできる本も珍しい。

でも、最もスイートスポットのゾーン、読むべき適齢期は、新しくマネージメント、事業責任者の職につくタイミングの人かな、と思う。

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コメント一覧

1. Posted by Kenya    2009年04月29日 01:59
Winning、示唆に富む本ですよね。僕も折に触れて読み返しています。

http://takekura.exblog.jp/2597231

Have a positive attitude and spread it around, never let yourself be a victim, and for goodness' sake - have fun.

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