【ドレスデン(ドイツ中東部)小谷守彦】オバマ米大統領は5日、ドイツ東部ワイマール近郊にあるナチスのブーヘンバルト強制収容所跡を訪れ、ホロコースト(大虐殺)の犠牲者を追悼した。大統領は訪問後、「今日見たことを忘れない」と報道陣に語るとともに、「ホロコーストの破壊の中からイスラエルが立ち上がった」と述べ、イスラエル建国の経緯に理解を示した。
独メディアによると、米大統領が独国内のナチス強制収容所跡を訪問したのは初めて。大統領はメルケル独首相、かつて収容されていた生存者2人とともに約5万6000人の犠牲者を悼む碑に白バラを献花した。
訪問はオバマ大統領がイスラエルとパレスチナの和解を促すのに先立ち、問題の根底に横たわる大虐殺の史実を自ら直視しようとしたものだ。
この収容所の関連施設を解放した米軍部隊には、オバマ大統領の祖母の弟(84)(米シカゴ在住)が所属していたことがあり、大統領が子供のころ、解放時の収容所の悲惨な状況を繰り返し回想していたという。
毎日新聞 2009年6月6日 11時53分(最終更新 6月6日 12時24分)