亀山継夫教授インタビュー
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実務法学研究科長インタビュー
亀山 継夫 教授
Tsugio Kameyama

- 東海大学の法科大学院は、きわめて個性的な教育システムを構想されています。まずは全体的な特色からお聞かせください。
- ●亀山:第一の特色は、少人数制のメリットを生かして、双方向型の教育を徹底させていることです。学生一人ひとりの必要に応じた、きめ細かな指導を実施しており、個々の能力を最大限に引き出すことを目標にしています。
また、小規模の法科大学院でありながら、法律基本科目群、実務基礎科目群、基礎法学・隣接科目群はもちろん、発展的な内容の展開・先端科目群の科目がバラエティーに富んでいることも特筆されます。周知の通り、本学は20学部を擁する総合大学であり、そのバックグラウンド、知的資源と連動させた教育が展開されているわけです。とりわけ医学分野と連携した医事法、工学、理学、海洋学などの科学技術分野と連携した知的財産法などの分野が充実していることは、本学の大きな特徴といえます。
- 医事法、知的財産法などの展開・先端科目を学ぶ意義は、どのあたりにあるのでしょうか。
- ●亀山:医事法、知的財産法などは、それ自体現代社会において、きわめてニーズが高まっている分野です。そうした分野に精通していれば、将来、実務法曹として活躍する際に大きな武器になることは間違いありません。
知的財産法は司法試験の受験科目に加えられ、医事法は未だ加えられていないという違いはありますが、これら応用分野の法領域は、民事・刑事の基本法を基礎とし、その特別規定として発展してきたものですから、これらの法領域についての理解を深めることは、直ちに基本法のより深い理解につながることになり、結果として司法試験対策にも大いに役立つことになります。
- 実務教育にも力が注がれていますね。
- ●亀山:本大学院の教員構成は、実務を経験している教員が、専任教員の約4割という高い比率を示しています。そのほかにも兼任教員として数多くの実務家を招聘しており、理論と実務の架橋を意識した教育をめざしています。私自身、裁判官、検察官、弁護士の法曹三者すべての経験を有しており、その実体験をもとに、それぞれの立場の違いを踏まえた授業を行っています。
また、東京弁護士会と連携し、同会所属の法律相談所において法律相談業務に参加する「リーガルクリニック」の制度も用意しています。
- 実務家教員が担当する授業スタイルには、どのような特色があるのですか。
- ●亀山:これまで司法研修所で実施されてきた教育に近いものになっています。現実の事件記録を与えるなどして、その事件記録からどのような事実が認定でき、どんな法律問題が発生するのか、そしてどのような結論が妥当なのか、ケースごとに深く考察していく授業を行っています。
- 司法試験対策として、何か特別な指導方法は考えていらっしゃいますか。
- ●亀山:授業がきちんと理解できていれば、十分に合格できるカリキュラムを編成していると自負しています。とはいえ、教員側が狙っているレベルまで学生が到達しているかどうか、しっかり確認する必要もあります。そこで、模擬試験、答案練習などを活用して、学生の実力を系統的にチェックする体制を構築しています。模擬試験は、単に受験させるだけでなく、教員が各学生の答案をチェックして、きめ細かく指導するとともに、不足している部分を授業でフォローするように努めています。
加えて、新司法試験に向けて、とくに重視して鍛練しなければならない能力もあります。それは“説明能力”です。新司法試験では、問題を発見し、それに対して適切な解決案を考え、さらにその解決案を論理的に裏付け、他者に納得させる能力を問う出題になっています。この他者に納得させる能力という部分が肝心です。法曹は常に他者に働きかけなければならない仕事ですから、きちんと説明できなければ、意味がないからです。先のチェック体制においても、とくにその部分は重視しています。
幸い、最近の司法試験では、本大学院からも合格者を出すことができたので、これに力を得て更に指導を工夫し、強化しようと思っています。
また、合格者達も忙しい時間を割いて後進の指導、相談に全力を尽くしたいと言ってくれていますので、感謝しつつ、期待しています。
- どのようなタイプの学生が入学されていますか。
- ●亀山:法曹は、社会的紛争を解決することが役割ですが、その解決とは、社会常識に叶ったものでなければ通用しません。
そこで、本大学院では、多様な社会経験を有する社会人学生も積極的に受け入れていく方針です。もちろん、学部新卒者を排除するわけではありませんが、社会人と学部新卒者が机を並べて学ぶことで、いい意味での刺激になると考えています。実際、薬剤師、銀行やメーカー経験者など、多彩な経歴の学生が入学しており、活気あふれる授業が展開されています。
- 最後に、これから法科大学院をめざそうと考えている人たちにメッセージをお願いします。
- ●亀山:ローヤーとは“私の利益”を第一に考えてはいけない職業である、それが私の持論です。社会的紛争の解決に携わるということは、極端ないい方をすると、他者の不幸があって初めて仕事が成立する職業です。だからこそ“私の利益”が第一であってはいけない。公益性の高い職業をめざすのだという志と誇りを持って入学してきてほしいと期待しています。