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山口CO中毒:30日以降に排気管亀裂か

4日も朝から現場検証が行われた山口秋芳プラザホテル=山口県美祢市で2009年6月4日午前11時6分、佐野格撮影
4日も朝から現場検証が行われた山口秋芳プラザホテル=山口県美祢市で2009年6月4日午前11時6分、佐野格撮影

 山口県美祢(みね)市の山口秋芳(しゅうほう)プラザホテルで起きた一酸化炭素(CO)中毒事故で、亡くなったカメラマンの川副浩明さん(26)=京都府木津川市=が倒れていた310号室には5月29日に宿泊者がおり、特に異常は起きていなかったことが分かった。山口県警は同室近くを通っていた排気管に亀裂が生じ、COが漏れたとの見方を強め、4日も引き続き現場検証をしているが、30日以降に排気管の異常が起きた可能性が高くなっている。

 市によると、建物は82年7月に建設された。3日に同市内で会見したホテルの安方和馬社長(60)らによると、03年に現オーナーが買収し、07年から現在の経営陣が営業を続けているという。

 ホテルのボイラーは2基あって給湯用として使われ、通常は午後3時から稼働。事故が起きた今月2日は午後4時に火を入れていた。ホテルによると、今年の大型連休は16室の客室がすべて満室となり、その際も異常は見られなかった。その後、最後に310号室が使われたのは5月29日で、この日もボイラーは稼働していた。安方社長は「ボイラーの不具合や、ガス漏れが起きたことはなかった」と話している。

 一方、ホテル側は少なくとも現オーナーが買収した03年以降、排気管や煙突の点検をしていなかったといい、館内に設置されている火災報知機もCOなどのガスには反応しないタイプという。山口県警は4日の現場検証で、ボイラーから3階に至る排気管付近の壁に亀裂がないかなどを調べている。【佐野格】

 ◇「業務用」点検、法的義務なし

 COの発生源と見られるホテル地下の業務用ボイラーが、液化石油(LP)ガス器具を対象にした法令で、点検義務のないことが分かった。

 家庭用器具には4年に1度の点検義務があり、山口県防災危機管理課は「法の不備ではないか」と指摘。他県でも同様事故が起きており、事態を重視した国は原因が特定された時点で、同種事故が起きていないかの全国調査に乗り出す方針だ。

 経済産業省によると、液化石油ガス保安法(LP法)は、業務用のボイラーには適用されない。また同県によると、ホテルにLPガスを販売した業者は、機器周辺は定期的に自主点検していたが、排気管を点検したかは確認が取れない。【井上大作】

毎日新聞 2009年6月4日 15時00分(最終更新 6月4日 15時00分)

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