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「すごくきれいになる。ちょっと臭いけど慣れれば気にならない」。鳴門西小学校の六年生四十六人がEMを使ってプールを清掃した後、楠真緒さん(11)=鳴門町高島=はこう話してほほ笑んだ。
水を張ったプールにポリタンク八杯分のEM液を入れ、一カ月間そのままにしておく。すると、コケが取れ、清掃がしやすくなる。想像以上の効果に、清掃をしていた六年生は一様に驚いた。
同校が環境対策に取り組むようになったのは二〇〇二年五月。四年生がごみについて学ぼうと市衛生センターを訪れ、ごみの中で給食の残飯が最も多いことを知った。「ごみを減らすために、何かできないか。まず残さずに食べることから始めよう」。校内の環境委員が中心になり、残飯の減量を全校生に呼び掛けたが、効果は上がらなかった。
そんなとき、EMを使った環境対策に取り組む地元住民グループが鳴門西小の活動を知り「子どもが環境に関心をもつのはいいこと。一緒にやろう」と声を掛けた。
同年夏から、地域ぐるみでの取り組みが始まった。まず残飯の堆肥(たいひ)化。住民からもらったEMボカシを残飯にかけ、校内の花壇横に掘った深さ五十センチの穴に埋めた。二カ月後には栄養分を多く含んだ土が出来上がり、花の肥料に利用した。
また、学校周辺の水路の浄化も始めた。水路は生活排水のため底はヘドロで覆われていた。海が近く、水路には海水が流れ込むが、クサフグ以外にはほとんど魚はいない状態だった。なんとか美しくしようと、児童は住民にEM団子の作り方を教えてもらい毎年二千個を投げ込んだ。
効果は翌年から表れた。ヘドロが減るにつれ悪臭が少なくなり、底が見えるようになった。ヘドロの減少が本当にEM団子の効果なのか確かめようと、校内の水槽で同じ状況を作って実験。数日後、水槽を見た児童は興奮して「先生、ヘドロが減った。ほんまに団子が効いたんや」。子どもたちの目が輝いた。
最近、水路には魚が戻ってきている。今までいなかったセイゴ、ハゼ、メッキアジなどが姿を見せるようになり、数も増えている。
「環境がいい方に変化したということを、子どもたちが肌で感じ取った意義は大きい」と四年生の担任、大門政憲教諭(29)。地元住民との連携で、子どもたちの環境保護への関心は確実に高まっている。
◎後輩に受け継ぎたい
NPOボランティア鳴門西の理事、盛川潔さん(76)=鳴門市鳴門町高島 子どもたちのおかげで、四十年前のきれいだった水路に戻りつつある。環境に配慮する気持ちをこれからも大切にしながら、後輩に受け継いでいってほしい。
《EM》有用微生物群のことで、光合成細菌や酵母、乳酸菌などがある。培養したEM液はトイレの洗浄、消臭にも使える。これらの菌で米ぬかや油かすなどの有機物を発酵させた粉がEMボカシ。土3対ボカシ1の割合でEM団子を作る。【写真説明】EM液を使ってプールの清掃をする児童=鳴門西小学校