雑感

2009年03月31日

●春休み

 2009年は年越し派遣村のニュースから始まった。これまでつづいてきた請負・派遣などの非正規雇用の実態を日比谷公園を舞台に多くの人々に可視化した意味は大きい。期末レポートを書くために堤未果著『ルポ貧困大国アメリカ』(岩波新書・2008年)、しばらくして湯浅誠著『反貧困―「すべり台社会」からの脱出』(岩波新書・2008年)を読む。
 人間関係など個人のもつ溜めが急速に失われ、セーフティーネットが機能しないことで、失業=路上生活のような社会になっている。この溜めの重要性は、失業だけでなく様々なドロップアウトにおいて同様であると、私自身の不登校の体験から大いに共感した。
 大下英治著『渡辺美智雄の総裁選』(徳間文庫・1989年)を読む。やはり一党支配時代の自民党には総理総裁をめざす階段や道があったと感じる。だがリクルート事件による棚からぼた餅で誕生した宇野・海部両政権から、最近の安倍・福田・麻生政権につながる政権担当能力の劣化が顕著になる。そして1989年参院選の与野党逆転によって一党支配自体が終焉して連立時代を迎えるのだ。
 司馬遼太郎賞受賞式を兼ねる菜の花忌シンポジウムを聴くこともあったので原武史著『昭和天皇』(岩波新書・2008年)を読む。やはり昭和を歴史として検証するには年月が必要なのだろう。宮中祭祀に皇太子時代を含む戦前の昭和天皇が必ずしも熱心でなかった事実を知る。
 気になっていたスティーヴン・ソダーバーグ監督の映画「チェ28歳の革命」と「チェ39歳別れの手紙」(ともに2008年)をまとめて観る。キューバ革命までを描いた「28歳の革命」のほうに興味を抱いた。
 エルサレム賞受賞記念講演を掲載した毎日新聞記事で紹介されていた村上春樹著『アンダーグラウンド』(講談社・1997年)を読む。地下鉄サリン事件の被害者から聞き取ったノンフィクション。最も印象に残ったのは多くの被害者が体調がよくないと感じながら勤務地まで通勤をつづけたことだ。
 中川右介著『カラヤンとフルトヴェングラー』(幻冬舎新書・2007年)を読む。主役はベルリン・フィルハーモニーの指揮者だが、ナチスの盛衰が背景にある。ナチス・ドイツといえばブライアン・シンガー監督の映画「ワルキューレ」(2008年)を観る。ヒトラーと全面対決するのではなく、ヒトラー暗殺後にヒトラーの意志に従うかたちでドイツ国家を方向転換しようとするクーデター実行中のせめぎあいが興味深かった。

2009年01月03日

●世論喚起とロビー活動

 『18歳が政治を変える!』のAmazonランキングが年末に急上昇したが、ホリエモンことライブドア元社長の堀江貴文さんがブログ「六本木で働いていた元社長のアメブロ」で「ロビー活動が足りない!」というタイトルで紹介していた。
 新聞や雑誌でも世代会計など世代間格差に言及する報道が増えており、こうした動きをつうじた世論喚起の一方で質量ともにロビー活動の充実が求められる。
 ちなみに堀江さんが1972年10月29日生、最近亡くなった飯島愛さんが1972年10月31日生と1日違いの誕生日である。政界や言論界では若手と呼ばれる世代だが、同世代にはすでに大きな社会的影響を残している人物も多い。

2009年01月02日

●大原・比叡山

 冬季運行休止中のケーブルカーとロープウェイが正月特別運行するので比叡山に向かう。叡山電車に乗ったら雪で運休との車内放送だったが宝ヶ池から初めての叡山本線で終点の八瀬比叡山口に到着。運転再開の見込みが立たないのでバスで急きょ大原へと進路変更。雪の三千院で抹茶をいただき国宝阿弥陀三尊像を見る。
 昼食の後に電話すると運転再開していたので八瀬からケーブルカーとロープウェイに乗る。ケーブルカーは大正から昭和にかけて完成したもので、今まで乗ったケーブルカーと違ってかなりカーブのある路線だった。ロープウェイを降りた山頂は雪景色。延暦寺まで徒歩30分だが歩いたら遭難するような天候なのでバスで向かう。延暦寺では国宝根本中堂を見る。広大な土地と寒冷な気候から修行の地を実感。
 そしてケーブルカーで坂本に降りて京阪で三条まで戻る。浜大津から4両編成の電車が路面軌道から地下鉄まで直通する全国では珍しい光景。寺もよかったが初乗り路線ばかりの鉄道旅行が楽しかった。

お知らせ

2009年04月28日

●Rights結成9周年記念学習会のご案内

 選挙権・被選挙権年齢の引き下げと政治教育の充実をつうじた若者の政治参加をめざして、2000年にRightsを結成してから9年を迎えます。昨年10月には新刊本『18歳が政治を変える!~ユース・デモクラシーとポリティカル・リテラシーの構築~』(現代人文社刊)を出版して、国内外の実践事例を紹介するなど今日の到達点と課題を明らかにし、この変化が私たちの社会と政治にどのような意味を持つかを世に問いました。
 法制審議会が18歳成人について両論併記の中間報告をまとめるなど18歳選挙権が正念場を迎えるなか、本出版を契機に世代間格差と若者政策の理解が広がっています。私たちは結成9周年を記念して、スウェーデンの若者団体LSUを紹介するなど若者政策の第一人者で、法制審議会民法成年年齢部会委員など国の審議機関で積極的に政策提言している宮本みち子さん(放送大学教授)をゲストに迎え、若者政策について日本の現状と課題、海外の事例、今後の方向性などを意見交換するため下記のイベントを企画しました。ぜひお誘いあわせのうえご参加ください。

【日時】5月16日(土)15:00~17:00(受付14:45)
※13:00~14:00は同会場で2009年度通常総会を予定。

【場所】東京ボランティア・市民活動センター会議室B
JR・地下鉄飯田橋駅徒歩2分/TEL:03-3235-1171
新宿区神楽河岸1-1セントラルプラザ10F

【ゲスト】宮本みち子さん(放送大学教養学部教授)
 1947年生まれ。専門は青年社会学。社会学博士。日本をはじめ先進諸国の若者問題と若者政策研究に従事。著書は、『若者が《社会的弱者》に転落する』洋泉社、『格差社会と若者の未来』同時代社、「若者政策の展開―成人期への移行保障の枠組み―」『思想』No.983,2006、訳書は、ジル・ジョーンズ・クレア・ウォレス著『若者はなぜ大人になれないのか:家族・国家・シティズンシップ』新評論など。

【参加費】1,000円(学生500円)

<主催・お問い合わせ>
特定非営利活動法人Rights(ライツ)
〒104-0061 東京都中央区銀座8-12-11第2サンビル5階 ㈱第一総合研究所内
TEL&FAX:03-3248-8208

<お申し込み>
お名前(ふりがな)、職業・所属、TEL、E-Mailをご記入のうえ、こちらから5月15日(金)までにお申し込みください。当日参加も可能です。

2008年10月20日

●『18歳が政治を変える!~ユース・デモクラシーとポリティカル・リテラシーの構築~』刊行

18%E6%AD%B3%E3%81%8C%E6%94%BF%E6%B2%BB%E3%82%92%E5%A4%89%E3%81%88%E3%82%8B%EF%BC%81%E8%A1%A8%E7%B4%99081007.jpg

 国民投票法の成立によって2010年に成人と選挙権年齢が18歳に引き下げられる。この本では私たちの活動テーマである世代間格差と若者の政治参加、18歳成人・選挙権、政治教育の観点から今日の到達点と課題を明らかにすることで、この変化が私たちの社会と政治にどのような意味を持つかを考える。詳細はこちら。
 お申込は冊数とお名前・ご住所・TEL・FAX・E-Mailをご記入のうえ、こちらからメールするだけ。代金は本に同封する振替用紙で郵便局からお支払いください。

Amazonはこちら

高橋亮平・小林庸平・菅源太郎・特定非営利活動法人Rights編
現代人文社刊・08年10月30日刊行
ISBN978-4-87798-396-3
四六判・ソフトカバー・264ページ
定価:1,700円+税(送料別)