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help リーダーに追加 RSS この町に暮らすということ 

<<   作成日時 : 2009/06/06 18:37   >>

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 本を整理していたら、ひょっこり逗子・葉山の特集の載った雑誌が出てきた。ぱらぱらとめくっていると私が今感じていることを代弁してくれている文章に出逢った。

 この数年、若い人々が谷根千に住みたがる。昔から「古くてうるさそうな町だ」といわれただろうに、「人のぬくもり、なつかしい」といって若者が住みつく。彼らは四畳ぽっきりでも構わない。浴衣を着て銭湯に通い、町の寄席に顔を出し、谷中銀座でコロッケをほおばり、夕焼けだんだんで沈む陽をながめる。
 それで十分だ。だけど長く町を守ってきたからこそ今の姿がある、ということも分かってほしい。できたらいっしょに何かをやりたい、とも思う。私たちにできない何か新しいことをこの町を舞台にやってみてよ、とも思う。私にとって「谷根千」の創刊ほどワクワクする楽しいことはなかったから。
 私はとみにこのごろ東京の盛り場に出なくなった。人のことなど考えないふるまい、マニュアル通りな心のこもらない応対が、年のせいかひどくこたえるのである。エレベーター内は押しだまってお棺のようだし、地下鉄は携帯か居眠りのフリ。私の町ではそういうことはない。会えば「お寒いですね」「おしめりが欲しいわね」とたわいない会話を愉しむ。谷中銀座をトランク引いて歩いていれば、「あれ、森さん今度はどこへ行ったの」と声をかけてくれる。その関係は二十数年、私がこの町でつちかってきたものなのだ。

(「「リンカラン vol.32 2008・4」 この町に暮らすということ 文・森まゆみ」から跋粋)


 森まゆみさんは地域情報誌「谷根千」で有名な方。この「谷根千」は森さんら主婦4人が自分たちの暮らす町の雑誌をつくろうと、企画、取材、執筆、編集、すべて手掛けたもので24年前に創刊された。私は森まゆみさんの近代女性史の著書も読んでいるし、須賀敦子さんとも親しかった方としてその生き方に関心がある。
http://www.yanesen.net/mayumi/ ←森まゆみ 谷根千ねっと
先日、私は自閉症の高校生の女の子との小旅行に行き、その夜招待していただいた、浜松の劇団からっかぜによる「鉄道員(ぽっぽや」の劇を見て自分の半生を振り返って涙していました。私は会社員時代も、今のコミュニティーセンターと交流センターで働くようになってからも、この乙松のように訪れる人もまばらな秘書室や、コミュニティー施設を守り、会社と地域を守るために、自己本位な金さえあればという風潮と闘ってきたつもりです。私はこのように頑固に自分の生き方を通さなければ生きられなかったし、そのためにもしかしたら夫や子供を失ったのかもしれません。もし違う人生だったら、正月の夜、駅舎で最終便を見送った乙松のもとに現れた雪娘のような少女のような娘が私にもいたかもしれない、仕事一筋の乙松にあり合わせのもので手早く美味しい食事を作って差し出す純情な彼女のような存在に私がなりたかったのかもしれない、そんなことを考えたのでした。私はちょうど白いパーカーを着ていたし、Kさんの娘さんもこの少女が取りに来た人形のように大切にしている人形を連れてきていたのがとても不思議な気がしました。戦後、この乙松のような愚直な生き方しかできなかった人間は、同じように妻や娘を犠牲にして生きなければならなかったのでしょうし、それは個人の幸せを犠牲にしてまで守らなければならなかったものがあるからであり、責められるものではないのです。この少女が怒ってないよ、と言っていたように。
 今まで何とか守り通した人のぬくもりのともしびを、これからどうやって守り育てていけばいいのか。それは地域の人全員で考え育てていきたいです。昔からここにいる人、新しく仲間になった人、仲間はずれなく協力して全員で。
http://yokotafumitaka.cocolog-nifty.com/tajimiyori/2002/10/post.html ←吉田桂二 × 森まゆみ (対談)

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