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外来管理加算見直しの試算めぐる議論が休息

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 「少なくとも金額の問題については、こういう形で終わりにさせていただきたい」―。6月3日に開かれた中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬基本問題小委員会(委員長=遠藤久雄・学習院大教授)で、遠藤委員長はこうクギを刺した。昨年度の診療報酬改定に伴う外来管理加算の算定要件見直しの影響額をめぐっては、診療側と支払側の間で長く議論が続いているが、影響額の試算についてはいったん休息した形だ。ただ、診療側が社会医療診療行為別調査の結果が出そろう秋以降の再開を求めているのに対し、遠藤委員長は医療経済実態調査の結果に基づいた医療収益の総体的な議論を望んでおり、先行きは不透明だ。

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「5分要件」の撤廃を主張−中医協で藤原委員

 勤務医を支援するため、昨年度の診療報酬改定では、診療所側が病院に対して約400億円の「財政支援」を行うことが決定。時間要件(「5分ルール」)の設定など外来管理加算の見直しに伴い、このうち約240億円(厚生労働省の試算)の財源が捻出された。
 しかし、4月22日の小委で藤原淳委員(日本医師会常任理事)は、影響額が800億円に上っていると主張し、次の改定を待たずに「5分ルール」を撤廃することを求めた。また、支払側の対馬忠明委員(健保連専務理事)が、約240億円が「若人」(75歳未満)から回された金額かを厚労省側に確認したところ、佐藤敏信保険局医療課長は「これは便宜上、高齢者と若人に分けて影響を考え、さらに他の診療報酬項目も含む差し引きを考慮した上で、若人部分で240億円程度を見込んだ」と回答。これを受けて、藤原委員は5月20日の総会で、試算の詳細を明らかにするよう佐藤課長に求めた。

■見直しの影響、「枠組みとしては想定内」―佐藤課長

 3日の小委では、藤原委員が要求していた試算の詳細について佐藤課長が説明した。外来管理加算の見直しでは、「5分ルール」の設定や病院と診療所の単価の一本化などで財源を「節約」したが、佐藤課長は「当たり前のことだが、捻出された全額をそのまま病院の支援に回せるわけではない」と強調。各診療科間のバランスや他の診療報酬項目の新設などで「増額する部分の影響も考慮して推定しなければならない」と主張した。
 その上で、佐藤課長は「今回の外来管理加算の一本化や5分の要件というのは、若人についても高齢者についても同様に適用されるので、表面上の影響額は全年齢に及ぶが、その中からいろいろなやりとりをして、最終的に支援に回せる額は若人のみになった」と弁明。また、見直しの影響については「枠組みとしては想定内」とする一方、「金額の見込みが想定内かについては、現時点では分からない。社会医療診療行為別調査の結果を待つ必要がある」との考えを示した。
 佐藤課長はまた、昨年1月30日に中医協の公益委員が勤務医支援の提案をした際、当時の原徳壽医療保険課長の説明が「総括的なもので、細かい説明まではしていなかったのではないか」と、厚労省側の説明不足を認めた。

 説明を受けた藤原委員は、「一定の理解はした」と述べ、今後は、社会医療診療行為別調査の結果などが出そろう秋以降にあらためて検討するよう求めた。

■算定根拠を「表に出して言うべきだった」―遠藤委員長

 病院への財政支援に関する提案をした公益委員の一人だった遠藤委員長は、「(昨年度の改定の議論の中で)平場では出なかったが、各委員からも算定根拠は何かという話もなかった。結果として、どのぐらいのお金が動くのかということで、この数値で議論した」と説明。その上で、「一部の委員だけが知っているのは、あまりよろしくなかった。むしろ、これは表に出して言うべきだったし、われわれ委員としても、この算定根拠はどのように出したのかという質問をすべきだったと反省している。今後は算定根拠などについて、できるだけ表に出して議論するようにしたい」と表明した。

 その一方で、遠藤委員長は「一つの医療行為を変えると、他の医療行為にも影響を及ぼすので、全体として医療機関の収益にどう影響するかを見るしかないのではないか」と述べ、最終的には医療経済実態調査などの結果を踏まえた議論が必要だとの認識を示した。
 遠藤委員長はまた、「個別の診療報酬の改定を金額ベースで予測して、それが実態とどう違うのかということを検証することになると、おそらく乖離することは目に見えている。そうなると、具体的な数値を出した形での議論はされなくなる」と指摘し、「限られた財源の中で医療費を配分することが、われわれのミッションなので、具体的な数値が概算でも出ないまま議論していることの方が不自然といえば不自然だ」と強調した。

■240億 Vs 800億で「ちょっと踏み込んだ」―対馬委員

 小委の終盤に対馬委員は、「改定直後に全体的なプラス、マイナスなどのチェックをすることは、支払側も診療側も当然のことだと思う。そういう中で、もちろんわたしたちも(厚労省から)一定の説明を受けてチェックしている。おそらく、日医も事務局からそうした質問的な説明を受けているのではないか」としながらも、「ただ、それは平場の議論とはおそらく別なので、わたしたちはそうした議論をずっとしてこなかったが、再三再四、240億対800億という話をするので、ちょっと踏み込んだということだ」と議論の経緯を説明した。


更新:2009/06/05 17:59   キャリアブレイン

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