「髪の色」 まだやってんのかい、こんな事という話を目にしたので、今回は髪の色の話 ・・・ ちなみに、この種の話は私が学生だった四半世紀前にもあった事を明記しておきたい。 さて、今回のお題となった事件は、”生まれつき栗毛色した髪を、教諭にスプレーで黒く染められ、自主退学を強要された女子生徒が県に対して慰謝料など計550万円の損害賠償を請求する訴えを仙台地方裁判所に起こしたというもの。 ちなみに、この女子生徒(16)は2005/01に県立高校を自主退学し、県外の私立高校を受験し直し、そちらの学校へ2005/04から1年生として通うことになったという。 訴えによると、宮城県立高校の1年生だった時に、教諭から「髪が赤いから染め直せ」などと指導され、地毛だと説明したものの、教諭たちは、休み時間に放送で呼び出したり自宅に電話したりして、黒く染めるよう再三にわたり強要し、ついに11月には、副担任の女性教諭から髪に黒色のスプレーを吹き付けられるに至ったという。 自宅への根拠の無い執拗な電話などの行為は脅迫に該当し、スプレー吹きつけに至っては傷害罪が適用可能なのだが、教諭達に自覚があるかどうかは微妙である。 皮肉なことに、この高校の生活のしおりでは、”髪の染色は禁止”されているのだが、栗色を黒色に染めるのも髪の染色なわけで、教諭が自ら規則違反を強要していたことになる(笑)。 つまり、”髪の毛は黒色以外認めない。黒色以外の髪は黒色に強制的に染色する”と入学時に保護者や生徒に説明している学校での出来事ならまだ理解できるという話ではある ・・・ そんな公立学校に自分の娘を通わせたがる親がどれくらいいるかは未知数だが。 なお、この女子生徒は、弁護士を通じて「先生たちには、どれほど私の気持ちを傷つけたのか考えてほしいし、気付いてほしい。生まれながらの髪の色で、私のようにひどい目にあう生徒が出ないようにしてもらいたい」というコメントを出している。 これに対して、白石晃(宮城県教育長)は「訴えがあったとすれば大変残念。訴状の内容を見た上で適切に対応したい」とか「生徒と教員との信頼関係のもとで行うよう指導している生徒指導で訴えがあったのは大変残念」という呑気なコメントを出していて、この段階での陳謝ということは行っていない ・・・ 犯罪行為を謝罪しない相手には裁判で徹底的に叩くべきだろう。 なお、同校の石井正樹校長は「スプレーを吹き付けたことは認識しており、適切さに欠けていた。今後の対応は県と相談して決めたい」と話していて、かなり悪質な行為が日常的に行われていたのは確実だなと。 髪の毛を黒色に強制的に染めるような馬鹿なことを本当にやっているのか?と思った人は、それだけで幸福な学生生活を送った人で、この手の強要は以前から後を絶っていないようである。 私の学生時代は、脱色が問題となっていたが、念のために書いておくとオキシフルや麦酒による脱色が話題になっていたのはもう少し前である(笑)。 まあ、髪の色を染めるなんてことは卒業すれば誰だってやっていることだとは思うが、考えてみれば50〜60になれば、嫌でも白髪染めを使う事になる女性は珍しくないわけで、染める染めないで揉めるというのは極めてナンセンスだと、私は思う ・・・ 気になるのは黒色スプレーを吹きかけた女性教諭達の今後で、彼等彼女達は死ぬまで白髪になっても髪は染めないんだよね? この話で最低なのは、この女子生徒は2004/12に、学年主任や担任から「成績不振」を理由に自主退学の勧告を受けていることで、それならばなおさら髪の毛をあれこれ指導する前に彼女の学力を向上させるのが先ではないのか? また、他県の高校への進学が可能だったことを考えるとき、ある種のイジメが教諭達によって生徒に行われたということであり、非常に深刻な問題を孕んでいる。 従って、裁判では、彼女の成績も当然問題にすべきだろうし、その成績不振に対して教諭達がどのような対応をしたかも当然問題にすべきだろうと私は思う。 彼女がされたことから考えれば、どちらかと言えば、民事よりも刑事事件として告訴すべきだったと私は思うし、教諭達の教員免許も剥奪すべき事件だとも思う。 もちろん、高校生が髪を染めて金髪にしたり赤毛にしたりすることを推奨しているわけでもなく、そんな金と手間のかかることをやっている阿呆を規制するのに反対しているわけでもない、それはそれで問題だよなと(笑)。 ただ、特に官の教師は既得権益の上にふんぞり返っている事が珍しくないが、教育は基本的にサービス業であり、顧客である生徒を満足させる事が職務である。 それは、第一に応分な学力を付けさせることであったり、社会に出たときに困らないマナーを教えたりすることだと考えるが、人様の髪にカラースプレーを吹きかけるという一般社会の常識が無い教員達に、一般社会に通用する人材を育てることができるのかという素朴な疑問を私は持つのである。 教える側に世間様に通用するだけの常識がないのに、どうやって生徒を教えることができるだろうか?何を教えている気になっているのだろうか? あるいは、海外からの留学生や帰国子女、あるいは出稼ぎや移民としてやってきた彼等がブロンドや赤毛だったときにも、この先生達は”本学の生徒の髪の色は黒色だけ”ということで黒色スプレーを吹き付けるのだろうか? それとも、日本人だと地毛の赤毛は認めないが、外国人の場合は認めるという差別を平然と行うのだろうか? 何が嫌といって、立場上抵抗しにくい生徒を一方的かつ身勝手な理屈で嬲って恥じていない教員達の言動や暴力行為で、自分達の日頃の鬱憤をそこで晴らしているんじゃないのかという疑念を持つに十分な行為である。 こうした一般社会から乖離した常識の上で生きている教員がいる以上、教員免許は自動車の運転免許程度の期間で更新制にすべきだし、更新時には学校や教育委員会以外の第三者機関で社会的常識の有無など人としての適格性を判定し、必要に応じて免許停止や免許剥奪、あるいは1年程度の社会研修を義務化すべきではなかろうか? というか、少子化で教職員は余るわけだし、週休二日になったのに春夏冬の長期休暇は短縮されていないわけだから、長期休暇中にデパートやコンビニなどの小売業などで研修をさせることで一般常識を身につけさせるべきではないかと。 (2005/06/24) |