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最後まで「表現者」として一線に…作家・栗本薫さん

5月26日、膵臓がんのため56歳で死去

栗本薫氏(クリックで拡大)

 「作家と思ったことはない。何かを作って、人に施す、人に向ける、人に向かって流れ出るというのが、自分がやりたいことなんだと思う」

 5月26日に亡くなった栗本薫さん=写真=は、がん闘病中の2008年7月、インタビューにこう答えた。抗がん剤治療を受けながら小説を執筆、ピアノのライブで自作曲を披露し、ホームページで病状をつづるなど、最後まで「表現者」として一線に立ち続けた。

 SF作家の新井素子さんは「栗本さんの作品は呼吸が合うのか、読んでいて心地よかった。大作の『グイン・サーガ』は常識外の情熱がなければ書けない。読者としても作家としても尊敬していた。闘病中と聞いてはいたが、作品を出しているから元気だと信じていたのですが」と、突然の訃報に驚いた。

 東京都出身。早大文学部卒。1977年、評論「文学の輪郭」で群像新人文学賞を受賞しデビュー。翌年、テレビ局内での殺人事件を描いた「ぼくらの時代」が江戸川乱歩賞を受賞した。栗本薫、中島梓の2つの名前を使い分け、テレビのクイズ番組にレギュラー出演し、ミュージカルの脚本、演出も手がけるなど、多彩な才能を発揮した。

 20代から活躍した栗本さんだったが、90年に乳がんを発病。右の乳房の切除手術を受け、退院するまでの一部始終を赤裸々につづった「アマゾネスのように」を出版して話題となった。

 07年末、再びがんに襲われ、翌年、闘病記を刊行。病状が悪化する中、ホームページでは「からだのきくうちにやりたいことをすべてやっておきたい、と切実に思っています」など心情を吐露した。

 “世界最長”の金字塔を打ち立てたSF「グイン・サーガ」は09年、刊行開始から30年に。巻数は126に達し、すでに今年刊行分の原稿は書き終えていたが、4月下旬には「小説をなんとかしなくては」とつづり、もどかしさも見せていた。

 作家の高橋克彦さんは「残念としか言いようがない。『グイン・サーガ』という前人未到の仕事の途中で逝ってしまったことを彼女自身が一番悔しがっていると思う。しかし、多くの人たちに愛される作品を書き続けてこられたのだから、作家としては素晴らしい人生だったのではないか」と話した。

 葬儀・告別式は近親者のみで行い、後日、お別れの会が開かれる予定だ。

ZAKZAK 2009/06/05

栗本薫

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