国道が車両待機場所の「三井アウトレットパーク入間」

( 平成20年04月11日 )

投稿者: 村中  


 昨日、首都圏の大動脈である国道16号線沿いに、国内最大級のアウトレットモール 「 三井アウトレットパーク 」 が開業しました。 8日に 「三井アウトレットパーク入間」による環境破壊が心配というタイトルの投稿をしましたが、案の定、私が心配した通りの事態になり周辺は大混乱しています。

読売新聞より引用
周辺道は大渋滞 店舗は、圏央道の入間インターチェンジ(IC)からわずか約500メートル。慢性的な交通渋滞にある国道16号沿いにあるため、開店の午前10時前後には3・5キロの渋滞が発生した。
 三井不動産は車による来場を平日が1日約5200台、休日は約1万100台と予想。駐車場出入り口を2か所設け、交通量の分散を図るほか、約3200台の敷地内駐車場と約600台分の臨時駐車場を確保した。「入間インターチェンジを封鎖し、別のインターで降りてもらうことも東日本高速道路と協議している」(同社商業施設運営事業部)という。狭山署も「週末はさらに混雑するだろう」と警戒している。
<引用終了>

入間市駅から 「 三井アウトレットパーク 」 に向かうバスは動かなくなり、乗客はバスから降り、歩いてパークに向かう姿も見受けられました。 付近の大学へ向かうスクールバスも大渋滞にまきこまれていたようです。 周辺のガソリンスタンドの店員も 「 ビジネスにならない 」 という顔をしていました。

「 洗濯物が排気ガス臭い 」 「 これからは窓も開けられない 」 という地域住民の声もいずれ聞こえてくることでしょう。

環境への悪影響や、国道16号線や国道463号線 ( 国道299線バイパス ) を延々と渋滞させることによる経済的損失については後日レポートするとして、今日は三井不動産のパークの設計思想について、ディズニー・テーマパークと比較して論じてみたいと思います。

読売新聞の記事にあるように、「 三井アウトレットパーク入間 」 の来場予想車両数は、平日が約5,000台、休日は10,000台です。 三井不動産の他のアウトレットパークの運営実績からはじき出した数字であり、信憑性の高い予想台数です。

この予想来場車両数と実際に用意されている駐車スペースの整合性は後述しますが、その前にディズニー・テーマパークのパーク設計思想とデザインの基本について説明します。

ディズニー・テーマパークには 「 デザインデー 」 という用語があります。 「 ゴールデンウイークなどの特定集中日以外の平日、休日を快適に過ごしていただける施設造りのためのモデル日 」 であり、この日の来場者数に合わせて、レストランやトイレ、駐車場などの必要数を割り出します。

1時間に一回はアトラクションを利用できる、トイレが長蛇の列にならない、駐車場から車両を溢れさせないというような考え方を基本としてパークをデザインしていくのです。

このディズニー方式に基づき 「 三井アウトレットパーク 」 のデザインを考察してみますと、まったく非科学的であることが理解できます。

新聞報道によりますと 「 三井アウトレットパーク入間 」 の年間入場者目標は600万人だそうです。 平均すると、一日当り約16,000人になりますが、実際は平日が12,000〜15,000人、休日が25,000〜30,000人位を予想しているものと思われます。

仮に 「 デザインデー 」 を25,000人集客日として考えますと、8割の人がマイカーで来場したとして20,000人は車両による来場者です。 1台の平均乗車人数を仮に2,5人とすると、駐車場の必要台数は8,000台となります。 クリスマスの時期の平均乗車人数は 「 二人 」 に近づきます。 必要駐車台数は10,000台に近づくことでしょう。

もうお分かりでしょう。 年間600万人の集客目標というのはものすごい数字なのです。 4月15日に25周年を迎える東京ディズニーランドの初年度の目標数は800万人でしたが、その4分の3の600万人のお客様に快適と思っていただける施設にするならば、少なくても7,000〜8,000台分の駐車スペースが必要なのです。 駐車スペース3,200台という数字はまったく根拠のない数字と言わざるを得ないのです。

事実、昨日も 「 三井アウトレットパーク入間 」 の3,200台分の駐車場は満車となり、幹線道路である国道16号線や国道463号線が、入場待ち車両の待機場所になっていました。 満車後は1台退出したら1台入場させるシステムです。 国道が渋滞ではなく、麻痺することは当然のことなのです。

混乱にまき込まれたトラック運転手などの輸送に携わる人に限らず、多くの人々が困っています。 このままこの事態を放置しておいて本当に良いのでしょうか。

昨年は、白い恋人や赤福、船場吉兆などの有力ブランドによる偽装表示が問題になりました。 しかし、です。 雪印食品による食中毒事件と異なり、これらの偽装問題では実害が出ていません。

もちろん、偽装が許されるものではありませんが、「 三井アウトレットパーク入間 」 開業による実害の発生と比較した場合、どちらに 「 業務改善命令 」 が出されるべきなのか、小学生でも分かりそうなものです。

以前も書きましたが、大型の商業施設開業による渋滞の発生はしかたないという時代は終わったのです。 地球温暖化を止めるためにも、関係者には再考を促したいと思います。