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「追い出し屋」:居住権侵害を初認定 大阪簡裁が賠償命令

 大阪市内のワンルームマンションを格安の礼金で借りた派遣労働者の男性(37)が「家賃滞納を理由に立ち退かされたのは、居住権侵害だ」として、同市内の不動産賃貸業者に慰謝料など計140万円の賠償を求めた訴訟の判決が22日、大阪簡裁であった。篠田隆夫裁判官は「自宅で平穏な生活を送る居住権を侵害した」として同社に約65万円の支払いを命じた。

 弁護士や司法書士らでつくる「全国追い出し屋対策会議」によると、敷金、礼金なしをうたう「ゼロゼロ物件」や格安物件の「追い出し屋」を巡る訴訟は大阪、福岡、東京など5都府県で約20件が係争中。追い出し行為を居住権侵害と認めた判決は初めて。

 判決によると、男性は08年2月、敷金なし、礼金2万円、月額4万3500円で部屋を借りたが、同年8月の家賃を滞納。業者から「20日までに払わないと鍵を交換する」と告げられ、同月25日、男性が外出先から戻ると鍵が勝手に取り換えられ、立ち退きを余儀なくされた。判決は「鍵を交換して未払い賃料の支払いを促そうとした行為は、通常許される権利行使の範囲を著しく超えており、平穏に生活する権利を侵害するのは明らか」と指摘した。

 判決後、男性の代理人で同対策会議代表幹事の増田尚弁護士は「判決は、勝手に鍵を交換すること自体が違法と指摘しており画期的。追い出し行為を禁止する立法措置を促すものとなる」と評価。不動産業者は「判決文を見ていないからコメントできない」としている。【北川仁士】

毎日新聞 2009年5月22日 19時04分

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