検索オプション


ここから本文です

三菱重工 年3〜4機受注目標 商用ロケット 海外も視野

6月5日8時18分配信 フジサンケイ ビジネスアイ

 三菱重工業は4日、国産ロケット「H2A」を使った商用衛星打ち上げについて、年間3〜4機の受注を目指す方針を発表した。政府系の衛星に加え、海外などからの受注も年間1機程度は確保する。三菱重工では今年1月に韓国から人工衛星の打ち上げを受注しており、海外市場を視野に受注拡大を図る考えだ。

 航空宇宙事業本部長の川井昭陽常務は同日の事業方針説明会で、宇宙分野の事業拡大に向け、H2Aによる打ち上げ輸送サービスの拡充を重点項目のひとつに掲げ、「商業衛星の受注により、打ち上げ機数の確保を図る」と述べた。

 これまでのH2Aは、通信や地球観測向けの政府系衛星の打ち上げが中心で、今年1月に15号機「いぶき」の打ち上げも成功。ただ、2007年の13号機「かぐや」、08年の14号機「きずな」と、政府系衛星の打ち上げは年1機ペースにとどまっていた。

 このため、量産によるコストダウン効果が限定的だったほか、現場での作業間隔があくため、技術継承やノウハウの蓄積も効率が低下するとして、「2〜3カ月に1回は打ち上げできる態勢にしたい」と述べた。

 民間の宇宙ビジネスを支援する宇宙基本法が昨年施行されたのに続き、政府の宇宙開発戦略本部(本部長・麻生太郎首相)が宇宙基本計画案の策定を進めている。それによると、今後5年間に打ち上げる衛星を、現在の2倍の34基に拡大する目標を掲げている。

 三菱重工では今後、政府系として年間3機程度のロケット打ち上げを見込んでおり、残る1機程度を海外を中心とする商業衛星の打ち上げでまかなう方針だ。

 一方、13年の運航開始を目指す国産初の小型ジェット機「MRJ」については、低燃費で環境性能の高いエンジンなどを武器に、海外で積極的に受注活動を展開する。

 金融危機に伴う世界的な景気悪化から投資に慎重な動きも出ているが、既に25機の購入を決めた全日本空輸に続き、2社目の受注先との契約も急いでいる。

 MRJは現在行っている詳細設計を年内にも完了し、実際の製造の前段階にあたる製造設計に移る方針。来年度には機体製造に乗り出し、11年に初飛行を行う予定となっている。

 一部には、設計の遅れなどから13年の運航開始を危ぶむ声もあるが、川井常務は「遅れることのないよう、着実に行程を進める」と述べた。(内田博文)

【関連記事】
JAXAの内閣府移管断念 文教族が抵抗
まいど1号、地球との“ツーショット”をパチリ!
宇宙ステーションへの輸送を監視 HTV運用管制室を公開
GPSアンテナをISSに設置 HTV接続用
【シャトル打ち上げ】「有人宇宙開発」踏み出す一歩

最終更新:6月5日14時42分

フジサンケイ ビジネスアイ

 

関連トピックス

主なニュースサイトで 国産ジェット旅客機MRJ の記事を読む

ブログパーツ

経済トピックス