欧米の景気後退は長期化へ=内閣府「世界の潮流」
[東京 5日 ロイター] 内閣府は5日、「世界の潮流」と題する世界経済に関する報告書を公表した。世界経済見通しについて、米欧景気後退は長期化するリスクが高く、米国は2010年に、欧州は10年後半に遅れて持ち直すとの見通しを示した。
アジアでは中国が、景気刺激策の効果もあり09年後半には緩やかに回復に向かい、周辺国のアジア諸国の回復に寄与する可能性もあるが、世界経済全体の回復をけん引することまでは期待できないとした。
09年の世界経済は戦後初めてマイナス成長となる見込み。10年には米国経済が持ち直すにつれて世界経済全体も持ち直すが、米経済が回復のエンジンとなれないことから、回復のテンポは世界経済全体で1%程度と緩やかなものにとどまるとみている。
米国では、国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費が、戦後最悪の雇用情勢や信用収縮の継続の影響などから2010年までは本格回復に向かうことは困難とみている。さらに実体経済の悪化により貸出の不良債権化で金融機関の損失が拡大。金融システム安定化資金も金融危機が早期収束しない場合には枯渇するおそれがあるとしている。欧州も雇用情勢悪化により消費を中心とした自律的回復が困難な上、中東欧経済の悪化による外需の回復も期待できないとし、早期回復は望みが薄い。さらに財政の持続可能性への懸念から国債金利の上昇も懸念材料だとしている。
一方、中国は4兆元の内需拡大策により固定投資の伸びが加速するなど内需は堅調に推移しているが、GDPに占める消費の割合が他のアジア諸国と比べても低く、安定成長のためには消費主導の成長への転換が必要だと指摘している。中国経済の世界経済に占める割合は7%強にすぎず、中国の景気回復が世界経済全体の回復をけん引することまでは期待できないが、アジア地域では、中国の回復が周辺国に寄与する可能性があるとしている。
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