「小沢一郎」を辞任させた京セラの「稲盛」
2009年6月3日 リベラルタイム
やっとというべきか。民主党の小沢一郎氏が代表を辞任し、鳩山由紀夫氏が新代表に就任した。小沢氏は五月の連休の前半に辞意を漏らしたが、いったんは撤回。結局、師と仰ぐ稲盛和夫・京セラ名誉会長に促されて辞任を決めたという。ただ、迷いに迷ったとはいえ、その後の展開は結果的に小沢氏の思い通りに運んだ。当初から後任は「犬猿の仲」である岡田克也氏ではなく、影響力の残しやすい鳩山氏を念頭に置いていたのは明らかだ。代表選の投票を衆院選の新人やサポーターにまで広げては、岡田氏が有利と見て、役員会で投票拡大を求めた「岡田派」の長妻昭氏らを「最後くらい、いうことを聞け」と恫喝。時間が経過するほど、国民世論が岡田氏に傾くのを恐れ、短期間での代表選日程も押し切った。
極めつけは、自ら選挙担当の代表代行ポストを求めたことだ。数は力、カネは力という田中派─竹下派以来の発想は、もはや「信仰」に近い。選挙の公認権を握れば、党を掌握できると踏んでいるはずだ。
元々、首相就任は乗り気でなかった小沢氏としては、「してやったり」かもしれない。衆院選で自民、民主ともに過半数を取れなければ、再び政界再編に打って出るとの憶測も飛び交う。「小沢傀儡」ではないと強調する鳩山氏だが、「小沢氏は何をするかわからない」という恐怖心から、希望通りのポストを与えざるを得なかったのが実情だろう。
それでも鳩山氏就任後の報道各社の世論調査では、「どちらが首相にふさわしいか」との問いに鳩山氏と答える人が、麻生太郎首相を大きく上回った。有権者の政権交代志向の強さに自民党は、改めておののいている。
リベラルタイム7月号「CONFIDENTIAL」
※各媒体に掲載された記事を原文のまま掲載しています。
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