西日本新聞


親の暴言 子の発達阻む 熊大准教授と米大学共同研究 「言語性知能」に差

2009年 06月 04日 | [6]その他

 子ども時代に保護者から侮辱や脅しなど言葉による虐待を受け続けた人は、言語や計算などの能力を数値化した「言語性知能」が、そうでない人に比べて低い傾向があるという研究結果を、熊本大学大学院の友田明美准教授(小児発達学)と米国・ハーバード大学の共同研究グループがまとめた。19日に熊本市で開かれる日本小児救急医学会で発表する。友田准教授は「継続的な言葉の暴力が知能の発達を阻害する可能性が高いことを示す有意なデータ」と話している。

 研究は、一般から募った18―25歳の米国人1455人にアンケートし、言葉による虐待を除いて似た家庭環境で育った男女40人を抽出。4―17歳までに毎日のように「生まれてこなければよかったのに」「無能だ」などの侮辱や脅しによる心理的虐待を受けた21人と、それを受けずに育った19人を知能検査した。

 その結果、言語性知能は、言葉による虐待を受けずに育った人の数値が111―154に対し、受けた人は94―140。最大値・最小値ともに17―14ポイント低かった。

 これまでも研究チームは、言葉による虐待が脳に及ぼす影響を調査。言葉による虐待を受けた人の脳を磁気共鳴画像装置(MRI)で解析した結果、聴覚野をつかさどる側頭葉の一部が受けていない人に比べて、左脳で平均12.5%萎縮(いしゅく)し、虐待期間が長いほど萎縮率が高いとのデータを発表している。

 友田准教授は「言葉の暴力の悪影響が数値で表れた。今後は、傷ついた脳の回復や予防の研究にも力を入れたい」と話している。

 ●環境づくり活用期待

 ▼京都大霊長類研究所の中村克樹教授(認知神経科学)の話 言葉の暴力が子ども期の脳の発達に悪影響を及ぼすことを示す結果だ。知能には個人差があるので、今後は被験者数を増やして精査し、子どもが正常に発達できる環境づくりへの活用が期待される。

    ×      ×

 ▼言語性知能 知能指数の構成要素の1つ。米国で開発された国際的な「ウェクスラー成人知能検査」では、知識、単語、計算など7種類を調べる「言語性知能」と空間認知などの「動作性知能」と総合して知能指数を算出する。社会階層や教育環境などによる後天的影響を受けやすいとされる。


=2009/06/04付 西日本新聞朝刊=

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