番組紹介
このFNSドキュメンタリー大賞は、FNS(フジネットワークシステム)各局の番組制作能力の向上と、そのノウハウの蓄積を図ることを目的に1992年に創設されました。
「番組制作」とはまさに生みの苦しみを味わうことです。日々のニュース取材の合間にコツコツと番組取材を重ね、もがき苦しみ時間に追われ、やっとの思いで55分にまとめる。その繰り返しが、各局の制作力を大きく向上させました。さらには、この枠で放送されたことが、一地方のローカルな問題だったテーマが、広くわが国全体の社会問題として認識されるきっかけになったことも、一度や二度ではありません。
「FNS28局がそれぞれの視点で切り取った28通りの日本の断面」「FNSの良心」などのキャッチコピーも定着し、FNSドキュメンタリー大賞は今や各局にとっても、FNS全体にとっても得難い大きな財産に成長しました。
各局が今回どのようなテーマの作品を出してくるのか。そして、どのような社会問題が提起されるのか、あるいは、どのような魅力的な人に出会えるのか。28局それぞれの切口を楽しんでいただければと思います。
あらすじ
第18回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート「助産師 小林康乃」。少子高齢化の進む福島県南会津町に県内唯一の助産院がある。この助産院を切り盛りする助産師の姿を通して産科医療の現実と命の尊さを考える。医療の発達と共にかつて「産婆さん」と呼ばれた助産師の数は減少している。その一方で、社会問題化する産婦人科医不足をきっかけに助産師の役割を見直す動きもでている。 母親から受け継いだ助産院を守り助産師として43年、取り上げた赤ちゃんは3000人以上という小林さんが出産に臨むときの思いは「どうか無事に産まれてきてください」という「祈り」。日々、新たな命と向き合う小林さんは4年前に自殺した長女を救うことができなかった自分を今も責め続けている。長女が自ら命を絶つ前日に書き遺した日記は母親として小林さんの苦悩を深めるものだった。 それでも喜びが感じられる限り助産師の仕事を続けたいという小林さんは次の世代に命の大切さと産まれてきた意味の重さを伝えていく。