カウスを脅迫したのは本当に前田五郎なのか

　中田カウス（５９）に「おまえを必ず舞台に立てないようにしてやる！」という脅迫状が送られてから始まった騒動。いったいだれがこんな物騒なものを送り付けたのか。その犯人捜しが意外な展開を見せている。“前田五郎・犯人説”を巡って場外バトルがはじまったのだ。「週刊朝日」と「スポーツ報知」が真っ向からぶつかっている。

　前田五郎（６７）を犯人と断定してこの脅迫事件の口火を切ったのが「週刊朝日」だ。〈犯人は吉本芸人だった！！〉という衝撃的な見出しの特集で“犯人・前田”を検証してみせた。

　前田から届いた年賀状と脅迫状の字が酷似していることを指摘した上で、カウス自身からも「確かに、あの字を見て、前田さんやないかな、と思ったのは事実です。僕と前田さんが犬猿の仲というのもホンマのこと……」というコメントを取っている。

　前田の相方の坂田利夫が「おまえの字と違うんかい」と前田に激しく迫ったこと、さらに所属の吉本興業が大阪府警の科捜研のＯＢ職員が代表を務める有名な鑑定業者に依頼。「前田が脅迫状の差出人である可能性が極めて高い」との吉本の結論を紹介している。

「週刊朝日の記事は“前田五郎・犯人説”が十分に納得できるほど、多彩で緻密な取材がなされていた。この報道をきっかけに他メディアも“犯人・前田”で流れたのは無理もない。それだけ説得力がありましたからね」（芸能記者）

　この大きな流れにストップをかけたのが「スポーツ報知」だ。前田とは無二の親友だというレツゴー正児に「（脅迫状問題について）わからん、奥さんも娘もおるんやから」とやんわり否定させたあと、ここにきて本格的な反論に出ている。問題の筆跡鑑定を酒鬼薔薇事件など数多くの筆跡鑑定を手がけた神戸大・魚住和晃教授に依頼。筆の運び方、文字の大きさ、筆圧、縦書きと横書きの４点からの相違点を紹介しながら魚住教授から「前田五郎の筆跡とは違う」との結論を導き出している。そして同教授の「（前田が犯人と）決めつけるのは安直。ターゲットをひとりに絞らず、考えるべき」とのコメントで締めている。

　ひとつの筆跡を巡ってシロとクロの鑑定結果。ちっとも面白くない吉本芸人のことより、「週刊朝日」ＶＳ．「スポーツ報知」、そこから派生した「科捜研ＯＢ」ＶＳ．「魚住教授」の展開の方がよっぽど面白い。

（日刊ゲンダイ2009年6月2日掲載）