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【政治】

『可視化』足利事件受け焦点に 法相『全面導入難しい』 取り調べに支障

2009年6月5日 夕刊

 栃木県足利市で一九九〇年、女児が殺害された「足利事件」で、無期懲役の刑執行が停止された菅家利和さん(62)の釈放を受け、森英介法相は五日の閣議後の会見で、捜査手法の見直しに触れ、取り調べの全面的な録音・録画(可視化)の導入について、現段階での検討は難しいとの見解を示した。民主党は全面可視化を求めており、裁判員裁判の開始を前に可視化の問題が大きな争点になりそうだ。 

 森法相は、可視化の導入に「全面的に義務付ければ被疑者に供述をためらわせて取り調べ機能を損ない、真相解明に支障をきたす。現段階では全面的に容認する方向での検討は難しい」と述べた。足利事件では、DNA鑑定の問題に加え、捜査段階で菅家さんに自白を強要した疑いも浮上している。

 足利事件と同じ精度の低いDNA鑑定が有罪の決め手となった事件として、九二年に福岡県で女児二人が殺害された「飯塚事件」がある。実行犯とされた久間三千年死刑囚は無実を主張していたが昨年、死刑を執行された。弁護団は名誉回復の意味合いが強い死後再審の申し立ての準備を始めている。

 森法相は、飯塚事件を再検討するかどうかについては「個別事件のことは控える」とした。

 

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